[映画監督:古厩智之]
引っ越し終わって…ません。途中で止めているんです。えーと…なんだか新居がひどかった。「リフォームします」と言っていたのに、流しの下はゴキブリのフンがびっしり。カーペットにはシミが幾つも。トイレもお風呂もカビだらけ。2日かけて大掃除しました。
そんでね、あるひと部屋だけ匂うんですよね。おばあさんの匂い。鼻が異常に良い妻は耐えられなく、窓を一日開け放し。消臭剤のリセッシュを部屋中にしゅっしゅ! そんなこんなですっかり疲れ切りました。

しかし何よりひどかったのはシャワーのお湯がちょろちょろなことです。アンドお湯の温度が波のように上下する。寒かったり熱かったり。他にも、流しの水はぽたぽた一晩中落ちてる。洗濯機のホースが、流しの下の穴を通らない。
まず大家に直訴しました。すると大家の弟というおっさんが来て、洗濯機まわりを直してくれた。「シャワーがちょろちょろです!」と言ったら蛇口一式を代 えてくれた。ひと安心…と思ったのも束の間、夜中に洗濯機からじゃーっと水が溢れて来た。なんでなんで!? 夜中に洗濯機を引っくり返して外れたホースを 直しました。洗濯機をいじってたのは大家の弟です。あんにゃろー壊しやがったな。
シャワーは修理したのにちょろちょろは直りません。まぁしかし古いマンションだからいいだろう。問題はお湯の温度の上下です。修理した大家の弟が「カラ ンのつまみを40度以上に合わせてテストしてください。赤ちゃんにちょうどだと思いますよ」。夜中、それをマジメに聞いた妻が叫びました。熱過ぎるお湯で 火傷したのです。なんたること!

その他にもいろいろありました。大家が勝手に居間まで入って来る。大家の弟が約束を破って訪ねて来ない。家賃を5年も払ってない住人がいて差し押さえされてる。真下の部屋は空いてるんだけどガラスがバリバリに壊れてる…。
引っ越し初日から妻が言いました。「前のマンションに帰りたい」でも俺は当初、否定してた。だって眺めは異常にいいし、古い建物もしぶいし、探したのは俺だしさ…。そんで毎日ケンカ。そして妻が火傷してやっと気付いた。こりゃまずい!
この築40年のマンションに俺が決めたのは、どっか俺の趣味にぴったりだったからですね。古さとか作りとか。つまり…そこに愛がなかったですね。妻や子供がどうするのが一番幸せか。
だから引っ越すことにしました。ここに来てまだ4日しかたってないけど、いいんです。人生やり直すぞ!引っ越したばっかで行くところがありません。ウィークリーマンション借りることにしました。ホームレス40歳になってしまいました。わはは。

