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[映画監督:古厩智之]

母校、日大芸術学部で講師をしています。普段は所沢の畑のど真ん中にあるキャンパスに通っているのだけれど。入試の面接官をやる今日は練馬区江古田のキャンパスなのだ。嬉しいのだ。

なんといってもあれです。3年、4年、もひとつオマケで5年生の日々を過ごした江古田の町は忘れ難く。所沢と違ってお店もいっぱいあるし!
学校からの電話では「面接官の先生方にはお弁当があります。食べずにお越し下さい」なんて電話が来たけどごめんなさい! あの頃食べまくってた定食、食べちゃうもんね。


ぎとぎと肉野菜炒め「スタミナ焼きランチ」が名物の「洋包丁」に行こうか。オマケでおにぎりが付いて来るラーメン屋「源」の味噌ラーメンか。ぎりぎりま で迷って飛び込んだのは「キッチン太郎」。ここの名物は豚バラ肉をニンニクと"何か"のタレで漬込んで焼いた「太郎焼き」。ああ。食べたかったよ。16年 振りだ。


出たー。これこれ。いただきます!

うむ…うまい。思っていたよりずっとニンニクが効いてるな。"何かの"タレは…タマネギが入ってるのは確かだけど他の材料は何だろう?
微妙にスパイシー。これがクセになるんだな。


しかし食べ物って不思議ですね。食べてるうちに昔のことをぱーっと思い出しました。学生の頃は自主映画ばっか撮ってたから、学校にいるのは編集のときだ け。時間もお金も惜しいから昼メシはいつも駅前で買うサンドイッチだった。こういった定食屋に来るのは編集がうまくいかなくて気晴らししたい気分の時が多 かったかな…。穴蔵のような編集室を出てやって来るこの店は小さくて。これまた穴蔵のようで。だけど窓ばかり大きくて。その窓から見る景色や道を急ぐ人た ちが白く明るく、凄く眩しく見えたなぁ…。留年して友達もみな卒業した5年生の頃は特にそうだった。太郎焼きを食べ終えて、窓の外のぼんやり明るい世の中 をぼうっとただ見つめてました。


なーんてたっぷり感傷に浸ってから学校に直行。今日の入試は映画学科・演技コース。役者志望だからしゃきしゃき元気な受験生が多いかと思いきや。ぼんやりした若者が多かったですね。えーと…覇気がなーい!


だけど…キッチン太郎の窓際の席にぼうっと座ってた頃を思うと、おんなじですね。全くね。俺も覇気なかったと思います。やる気だけはあったんだけど。それは全く表に現れませんでした。