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[映画監督:古厩智之]


昨日から役者のワークショップの先生をやってます。連続4日のコースで今日は二日め。「実話のエチュード」ってのをやってます。

これが何かというと…。まず最初に受講してる役者さんたちにネタ出しをしてもらいます。お題は「あなたがヒトと衝突したこと」。恋人でも家族でも友人でも構いません。「俺はジョナサンがいいって言ってるのに何でロイヤルホストなんだ!」なんて些細なことでも。


とにかく誰かとケンカしたり言い争いしたり…何でもいいから意見がぶつかったことを思い出して発表してもらうのですね。そんでもってそれをお芝居でやってみる。自分の出したネタの主人公は、ネタを出した本人に演じてもらいます。つまり自分で自分を演じるのですが…それって不思議ですよね。「誰かになる」のが芝居なんですが「自分自身でいる」ってのもお芝居です。俺はそれが一番大切なことだと思っているので「誰かになろうと頑張る」のを少しやめてみよう。それを経験するのが狙いです。自分のネタに主演するのは本人ですが、その他の登場人物たちに演出するのもその本人。出会った人がどういう人だったか、「考えてみる」訓練にもなればいいなぁと思ってやってます。

昨日が初日でしたが、しょっぱなということもあって絶好調というわけではないですが幾つか面白い芝居が出来ました。「寿司屋の息子が茶碗蒸しを彼女に作ってあげる約束をする。ところが忘れてコンビニで買ってお土産に。彼女が怒ってケンカしてお互いふて寝。だけど結局ソフトタッチからセックスを初めて仲直り」なんてネタは沈黙の“ま”がうまくいってなかなかいい雰囲気でした。みんな「お芝居をしに来てる」からついいろいろ「やっちゃう」のだけれど。何もしなくてもいい。怒ってるときは黙っててもいい。なんてことが分かるとそこにリアルなケンカ中の沈滞する空気が生まれて、見てるこっちも楽しめました。

しかし、これやってて楽しいのは役者だったり目指してる人たちの私生活や個性が見え見えになるとこです。お互い打ち解けて来て、今日はいろんなネタが出ました。「部屋を片付けられない主婦が、『いつまでにやるんだ!』と問いつめる夫をのらくらかわす」

「事務所を代わりたいと突然打ち明けるモデル。それを聞いた女社長が驚いてキレまくって、驚いて『すみません』しか言えなってしまう」

「三年間アッシーとして使ってた男に突然『俺たちもう終わりにしよう』とまるで付き合ってたかのように言われてびっくりする美人女優」

「お母んに『あんた才能全くないから役者をやめろ』と言われてしまう仕事がない役者」

…などなど。今は昼休み中でみんなエチュードの話し合い中。いったい今日はどうなるのか。楽しみです!