[映画監督:古厩智之]
非常勤講師として勤めている母校の日大芸術学部で社会人教養講座というのをやりました。僕の前の前の作品『奈緒子』を上映して自作を語る…というのがお題。
来てくれたのは50人ほど。そのうち日芸の生徒でない一般の方は19名。なかなか多い方ではないですか。
6時半からの上映で2500円取るからなぁ。ちょっとお高い。
『奈緒子』は後半だけ見ることが出来ました。久々に見たら固い映画でびっくり。
固いというより「硬い」ですかね。ぎちぎちだったな。求道的と言ってもいいかもしれない。
現在、新作の『武士道シックスティーン』の編集をしています。
そっちがゆるめの題材にも関わらずガシッ、ドカッ、勝負!という感じに溢れているので自分の傾向が気になるのです。俺、やり過ぎちゃうんだよなあ…。
だけど久々に見た上野樹里ちゃんはその表情の豊かさにびっくり。
顔面芝居なんか全くやんないの。たたずんでいるだけで雄弁…。
彼女を褒めつつ自画自賛だ。また仕事したいです。
『奈緒子』の上映終わって前に出ました。進行は映画学科の教授で、在学時代からよく知ってるTさん。在学時、Tさんは助手で、俺はダメな生徒でした。しかも言うことをきかない…。キャメラを借りて返さない。借りたキャメラを金魚鉢の中に入れて海へじゃぼりと浸ける。二週間の予定で始めた撮影が延びに延びて5ヶ月もやっている…などなど。
問題を起こすたびにTさんは「古厩あ!」と怒鳴り、俺はカタチばかり「はぁい。スイマセン!」と謝り倒していたのでした。懐かしいなあ。
トークの時間。そんなエピソードを話していたTさんが言いました。
「俺、古厩のラッシュも見てるんだよね」
ラッシュというのは撮ったままのフィルムをただ現像したもの。編集も音も入れてません。無音のNGカットが幾つも続いてたりするのです。
「俺がラッシュを見に行ったらさあ…どこが違うかわからない全く同じ芝居が10テイクも続いてるんだよね」とTさん。
そうだっけ。全く忘れてました。
「さすがの俺もイライラきて怒鳴ったんだ。古厩、コレどこが違うんだよ!どれがオッケーなんだよ!…って。そしたらお前何て言ったか憶えてる?」
うーん。全然憶えてません。何て言いましたっけ。
「お前、ひと言言ったんだよ。“わかんない”って」
ああ。そうか。そういうことがあった気がする。当時はとにかくわからなかった。どう撮ったらいいかわからない。それ以前に何を撮ったらいいかさえもわからない。
だけど…全てがわからなくなってしまうのは凄く面白かった気がします。目の前の撮るべきものが何だかさっぱりわからないって事は、それに慣れてないってことで。それは新鮮で刺激的でした。最近慣れてるなぁ。いかんいかんです。

写真は週イチで通ってる日芸所沢校舎。まわりは畑ばかりです!

