[映画監督:古厩智之]
えーと…奥がネピアの『鼻セレブ』、手前がエリエールの『やわらか贅沢保湿』ですね。
『やわらか~』はホントしっとりなんだけど紙が薄い気がする。『鼻セレブ』のほうが若干の厚みを感じるんですが鼻水を漏らさず受け止めてくれる感じがあって僕は好きです。
あ。でも今よく見たら『やわらか~』のほうには「コラーゲン配合」と書いてあるけどそれって鼻から吸収させるためだろうか。肌の張りを保つ成分だから『やわらか~』を使ってればかぴかぴの鼻にならないのかも…。
スギ花粉の季節ですね。僕は花粉症歴もう長くて、小学校低学年の頃から。
その頃はまだ花粉症という言葉もなくて。耳鼻科でもその症状がなぜだかよくわかってなくて。
鼻水だらだら、目をかきむしって白目がぷっくり腫れた状態で診察を受けに行っても
「何かのアレルギーでしょうね」などと言われていました。
よくないものを吸い込んでいるのだろうからとにかく洗うのがよい、
ということで鼻を洗うポンプのような器具を買い込んで毎日鼻を洗ってました。
アレつらいんです。
3%くらいの食塩水を作って、鼻にホースの先を突っ込んで。
ポンプをぎゅこぎゅこ押すと鼻から食塩水が流れ込む。その塩水は喉の奥と目の隙間から逆流して、
痛い痛い…。
「うわあ、げほげほ!」とよだれと涙を垂れ流して辛かったなぁ…。
アレをするたびにずるむけの背中に塩を塗り込まれた因幡の白ウサギのことを考えました。
一年のうち鼻水だらだらなわけだから暗い小学生になるには充分な時間でした。
あ。そう言えば…俺、小学校5年のときの女の先生が好きで。
その先生が出産を機に学校をやめるというその日、俺にだけプレゼントをくれて。
有頂天で家に帰って包みを開けるとそれは一冊の本でした。
『にんじん』というその本は、「にんじん色の髪の毛の少年は根性が悪い」というような記述で確か始まっていて。赤毛で性根が悪くて嘘つきでみんなに嫌われ疎まれている少年が…以降うろ覚えですが、
自分に優しくしてくれた病気の女の子を助けるために家の金を持ち出して…というようなお話でした。
面白かった気がする。逆にまったくつまらない、ヒドい、と思った気もする。
憶えているのは主人公のにんじんと呼ばれる少年のひねくれ具合が自分と随分似ていたことだけでしょうか。
それですっかり嫌(いや)になった。俺ってこんなにひねくれてるのだろうか。
そしてこんなふうに俺は先生から見えていて、実際クラスでこんだけ嫌われてるのだろうか。
ベッドの上で天井ばかり見て小説世界に全く入り込めなかった。
この原稿を書くにあたってどんな内容だったか調べたら、
孤独な少年の彷徨を描いてなかなか面白そうだったけれど、当時はねぇ…。
本は袋にしまって目に触れない机の奥の奥にしまいました。
今となっては、当時の俺に良かれと思って先生はあの本をくれたのだろうけど…。
「何、思って贈ったのかなぁ」この原稿を書きながら呟いたら、隣にいた妻に
「繊細な主人公に共感出来ると思ったんじゃない?」とあっさり言われました。
「私は小学校で友達ともめたとき、お母さんに『いじめっ子』って言う翻訳物を勧められたよ」と妻。
…みんなそういう経験してるんですね。子供に教え諭したり、何かを伝えようとすることは本当に難しい。
殆ど不可能じゃないか。違う世界に住んでるってことを大人になると忘れてしまう。
だから本とか贈るんだな。
実際俺も1歳半の息子に絵本をばんばん買い与えているのですが。
きっとこの先も伝えたいことは伝わらなくて、そうでないところだけ的確に伝わって行くのでしょう。
仕方ないですね。

