[取材]

スコット・デリクソン監督

スコット・デリクソン監督

 1951年に公開された原作を、57年を経てリメイクしたSF大作「地球が静止する日」が公開された。主役のキアヌ・リーヴスが地球を救うため人類を殲滅するためにやってきた宇宙人を演じる、メッセージとエンタテインメントが両立したクオリティの高い作品だ。公開に合わせて来日したスコット・デリクソン監督が、本作について語ってくれた。

 冷戦時代に公開された原作では宇宙人が指摘する地球の脅威は核兵器だが、半世紀以上を経て作られた本作で宇宙人が指摘した地球の脅威は、人類の存在そのもの。監督が込めた意図を聞くと、「オリジナルもこの映画も、お互いを破壊しあう傾向があるという人間の本質を描いています。普通の戦争は今でも発生し、私自身、アメリカに住んでいるアメリカ人として、世の中に戦争があって、それにはアメリカも関わりやっかいな状況になっていることはすごく意識しています。でも、もっと重要なことは、人類として私たちが下してきた決断が、この地球に非常に大きなダメージを与え、その結果が非常に大きな脅威になっていることです」と地球のおかれた現状を分析。

 では、そういった問題がこの映画に込められたメッセージかと言えば、「いえ。もしメッセージがあるとしたら、人間の本質についてのメッセージだと思います。人間は非常に破壊的な傾向を持っていますが、素晴らしい面もあるのです。自分達にとっての最大の危機を自分達で作り出した後で、自分達の最高の側面が出てくることもあり得る。あえてこの映画に込めたメッセージといえば、そういうことです」と語る。

 とはいえ、現実に環境破壊やテロ、経済の混乱など相変わらず人類は多くの危機の中にある。本当に私たちはこれらから何かを学び、成長できるのか? といった疑問もあるのだが、「私が住んでいるアメリカでは、今までの人生で経験したことがないほど本当にいろいろな変化が起こっています。アメリカ国民が自分達の起こした間違いを認め、変わろう、変えようという努力をしていて、それを見ていると勇気づけられます。アメリカ以外の国にも自分達が作り上げた危機があるわけですが、そういうものを真剣に受け止めて違うやり方を探そうとしている、そのような例をたくさん目にするので、非常に心強く思っています」とにこやかに答えた。

 黒澤明が大のお気に入りで、中でも「生きる」が好きだというスコット・デリクソン監督。これからも人間への愛と信頼をスクリーンで伝えてくれるだろう。

 「地球が静止する日」は日劇1他、全国超拡大ロードショー中。

■関連リンク
「地球が静止する日」オフィシャルサイト