[取材]
「レポマン」「シド・アンド・ナンシー」などの作品で熱狂的なファンが多いカルト映画の巨匠アレックス・コックス監督が、最新作「サーチャーズ2.0」の公開に合わせ、来日した。「サーチャーズ2.0」はアレックス・コックス監督にとって5年ぶりの作品、初めてアメリカを題材としている。かつてB級西部劇に出演した2人の男の旅を通じて描かれた、ハリウッドからアメリカ社会までを痛烈に批判する荒野の復讐劇で、エグゼクティブ・プロデューサーはB級映画の帝王、ロジャー・コーマンだ。
「『ラスベガスをやっつけろ』(※脚本を書いたのに途中で解任されたハリウッド映画)から学んだことは、企画に大金が集まった結果、作品のクオリティが下がることがあることです。それならば金がなければないほど良い作品が出来るだろうという仮説の元にやりくりしたのが『サーチャーズ2.0』ですが、結果としては上手くいきました」と、インディーズならではの心意気を語る。
「サーチャーズ2.0」で随所に登場するのが復讐。特に9.11以降、アメリカ映画でも頻繁かつ肯定的に取り上げられるようになったテーマだが、「16世紀にシェークスピアが描いたクラシックな意味での復讐は、“復讐は割に合わない”“復讐はモラルに合わない”“復讐をしてはいけない”ということを教えるための復讐劇だったはずです。ところが近年、特に最近の映画の中では、モラル的な意味での復讐が忘れられています。復讐をしたら勝ち、復讐は良きものだという風潮は、とても危険だと思います。復讐において、ハッピーエンドはあってはいけません」と冷静に分析する。
かつて、永瀬正敏主演のテレビドラマ「私立探偵濱マイク」でもメガホンを取ったアレックス・コックス監督。「あのときの経験から日本の俳優もクルーも非常に優秀だということが判ったので、ぜひまた日本で撮りたいと思います。特に『プロジェクトX』の田口トモロヲさんが大好きなので、彼がやってくれるならどんな作品でも撮ってみたいですね」と真剣な眼差し。近い将来、日本の映画人との意外なコラボレーションが実現する可能性も高そうだ。(取材・文・写真:平井景)
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