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[取材]

森淳一監督

森淳一監督

文学界に旋風を巻き起こす作家・伊坂幸太郎の大ベストセラー「重力ピエロ」。映像化不可能と言われたこの小説を、世界観を崩すことなく見事に映画化したのは、02年に「Laundry」で長編映画監督デビューを果たした森淳一監督。「ようやく映画化してみたいと思える原作に巡り会えた」と語る監督に、本作への思いを伺った。

原作ものを映画化する際、特に気をつけることは、原作を読んだ時の感覚だという。「原作に流れる空気感は大事にしなければいけないと思うんです。伊坂さんの文学は、どれも重すぎず軽すぎず絶妙なバランスだと思う。なのでそのバランスを保ちながら映画を作らなければいけないと思いましたね。あとは自分が原作を読んだ時に抱いた感覚を忘れないようにすること。撮っているうちに案外忘れちゃうものなんですよ、どのシーンで心が動いたか、どのセリフが心に残ったか、とかね」。

その意識は映画のエンディングにも影響しているようだ。何パターンも撮ったエンディングの中で最終的にいまのかたちに決めた理由は、原作を読んだあとに感じたすがすがしさを大切にしようと思ったからだと、監督は語っている。

加瀬亮、岡田将生、吉高由里子、鈴木京香、小日向文世ら豪華キャストもこの映画の話題のひとつ。キャスティングの経緯を伺うと、すべて監督が出演してほしいという俳優に依頼したそうだ。「加瀬さんは、昔、NHKのドラマで自閉症の役をやっているのを見たときから、すごい俳優さんだ、いつかご一緒したいと思っていたので、ようやく夢が叶ったという感じでした。現場では、なにかわからないことがあるとひとつひとつ僕に聞いてくれて、そうやって自分の中の疑問点を解決していきながら役を作ってましたね。すごく真面目な方だと思います」。

加瀬演じる泉水(いずみ)の弟で、“すべての女性が振り返るほどの美青年”という設定の春(はる)役はオーディションだったそうだ。「春役はかっこよければ良いというわけにはいかない。このキャスティングは非常に重要だったので、説得力のある春を探すために1年くらいかけてオーディションを行いました。そうして岡田くんに決めたんです」。

最後に監督はこう語る。「いろいろと問題が山積みの中で、でもどうしてもこの作品を映画にしたいとがんばってきました。その方法論はもしかしたらベストじゃないかもしれないし、違うひとが作れば違う作品ができるでしょう。でも少なくとも僕たちが能力の限りを尽くしてこの作品を撮りあげたということは確かです。なので多くの方に観て楽しんでいただけたら嬉しいですね」。

「重力ピエロ」は、5月23日(土)より全国ロードショー。