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[取材]

「正気」とは?「狂気」とは?これまでタブーとされてきた精神科にカメラをいれ、“こころの病”と向き合う人々がおりなす悲喜こもごもを、モザイク一切なしで鮮烈に描いた日本初のドキュメンタリー「精神」。前作「選挙」に続き、再びタブーに挑んだ想田和弘監督に単独インタビューを行った。

「自分の作品は“観察映画”である」と公言する想田監督。この作品を撮ろうと思ったきっかけは自らのある体験がもとだったという。

「大学生のときに燃え尽き症候群になったんですよ。当時大学(※監督の出身校は東京大学)の学生新聞の編集長だったんですけど、寝る間もなく猛烈に働いていたんです。新聞を毎週発行しなければいけないのに加え、財団法人で年間6,000万円の予算が出ていたので経営もしっかりみなくてはいけないというプレッシャーが思っていたより大きかったんですね。編集長になって1年半くらい経ったある日、朝起きたらなにもできない状態になったんです。特に記事を書こうとすると吐き気がする。そこで学内にある精神科に行ったら、『燃え尽き症候群だね』って言われました。診断書を書いてもらって、その足で編集部に行き辞めたんですけどね。編集長なのに(笑)」。

「そのときは実家で1週間くらい寝まくったらけろっと治ったんですけど、10年ほど経って東京で缶詰状態の仕事が2か月ほど続いたとき似たような過度のストレスに襲われて、ふと周りの仲間たちをみたら、皆燃え尽きちゃってるんですよ。そのとき、これはもしかしたら日本という国自体が病んでいるんじゃないかと思ったわけです。それでいつかこのことについて撮りたいと思うようになりました」。

本作のように深く掘り下げた作品の場合、よほど綿密な事前調査があったのかと思いきや、前もってのリサーチは一切なかったそうだ。

「基本的にはリサーチも打ち合わせしないというのが僕のやり方。たとえば統合失調症がなにかということすら調べていません。もし僕が統合失調症がどういうものか知ってしまったら、その患者さんのそれらしいところばかり撮っちゃうと思うんです。フィルターがかかっちゃう。それが嫌だからリサーチをしないんですよね。

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