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インタビュー
「魔法にかけられて」ケヴィン・リマ監督 インタビュー
「魔法にかけられて」ケヴィン・リマ監督 インタビュー
この映画は過去のディズニー作品にラブレターを書く気持ちで作ったんだ
“おとぎの世界”の住人たちが現実の世界に迷い込んだとしたら……? 全米で公開されるや大ヒットとなったディズニー映画「魔法にかけられて」が、いよいよ3月14日より日本公開を迎える。ディズニーの最新プリンセス・ストーリーは、アニメーションで描かれる“おとぎの世界”と実写で描かれる“現代のニューヨーク”が融合したミュージカル・ファンタジー。本作のプロモーションのために来日したケヴィン・リマ監督に話を聞いた。
profile
[ケヴィン・リマ監督]
ロード・アイランド州パタケットに生まれ育つ。5歳の頃からアニメーションの世界に魅了され、カリフォルニア・インスティチュート・オブ・アート(カルアーツ)のアニメーション学科を卒業後、独立系のアニメーション製作に携わる。1987年、ディズニーに入社。「オリバー/ニューヨーク子猫ものがたり」(88)以降、「リトル・マーメイド」(92)のキャラクターデザインや「アラジン」(92)のストーリーボード制作などを手がける。95年、「グーフィーとマックス/ホリデーは最高!!」で監督デビュー。その後、監督作「ターザン」(99)が、世界的大ヒット。「102」(00)では、実写映画の監督デビューも果たした。また、演劇への関心も高く、舞台「Into the Woods」の演出も担う。
「魔法にかけられて」
配給:ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン
2008年3月14日(金)より全国ホワイトデーロードショー!
オフィシャルサイト
本作でとても可愛らしいピップの声を披露されていますが、声を担当することになったいきさつと周囲の反応を教えてください。
ピップの声を僕がやることになったのは、自分から頼んだわけじゃなくて、本当に成り行きだった。スタジオで俳優たちにシーンの状況を説明する際に、どうしてもピップの台詞を言う人が必要だったが、それを僕がやっていたんだ。(ピップの声で)「ハロー!」とか、「プルップルップルッ」とかね(笑)。そんなことをずっとやっていたら、編集段階で「君がやるべきだ」と言われてしまった。でも僕はピップ役も俳優に頼もうと思っていたから一度は断った。でも仮の試写をやったときにピップの登場シーンで観客が笑ってくれて好評だったんだ。それで僕がやることになってしまった。で、今ではピップにはエージェントがついてるんだよ(笑)。次の出演作品を探しているところだ。
本作は全編にわたって過去のディズニー作品へのオマージュやセルフパロディが入っていますが、監督ご自身が特に気に入っているものは何ですか?
なかなか一つを選ぶのは難しいけど、僕が特に気に入っているのは、ジゼルが動物たちの助けを借りて部屋を掃除する「Happy Working Song」だ。なぜなら、あの場面はオマージュであると同時にパロディでもあるからだ。あの場面のアイディアが浮かんだときはとても誇らしい気分になったのを覚えているよ。このシーンの案が出てきた瞬間にこの映画の向かう方向、映画の持つユーモアのトーンがセットされたんだ。
過去のディズニー作品のパロディをすることを怖いと思ったことはありませんでしたか?
もちろん。最初はものすごく緊張したし、神経質になっていた。でも自分にこう言い聞かせたんだ。「ケヴィン、お前はこの世で何よりもディズニー作品を愛しているじゃないか」ってね。僕は子供の頃にディズニーアニメを観て、アニメーターになりたいと思って夢を追い続けてきた。この作品は、過去のディズニー作品に対するラブレターを書く気持ちで作ったんだ。そう思って取り組んだから、ディズニーのクラシックアニメを侮辱することなくパロディが出来たんだよ。
「魔法にかけられて」ケヴィン・リマ監督 インタビュー
ロバートの恋人のナンシーはいまどきのキャリアウーマンですが、同時に非常にロマンティックな面を持っていますね。彼女のようなキャラクターを入れた意図は?
ナンシーは複雑なキャラクターを作りたくて入れたんだ。彼女はキャリアウーマンという社会が求める外側に対して、実は非常にロマンティックな内面を持っている女性だ。主人公のジゼルはそういった複雑な面のない平面的なキャラクターだから、その対比にもなっているね。

それと、ナンシーはまさにこの映画のテーマにもつながるキャラクターだと思うんだ。ナンシーは本当の自分を隠しているところがあって、結果的には自分に正直になることで幸せを見つけることになる。つまり、“自分に正直であれば幸せになれる”“幸せになるために自分を隠す必要はない”というテーマにつながるんだ。

まあ、きっと僕はナイーブなんだろうね(笑)。
ヒロインのエイミー・アダムスと悪役を演じたスーザン・サランドンが非常に魅力的でした。二人を起用する決め手となったものは?
エイミーを選んだ理由は、彼女がディズニーのプリンセスを“深み”を持って演じられる唯一の人だったからだ。ジゼル役には300人をオーディションしたが、二次元のキャラクターを三次元にすることができたのは、正直言って彼女だけだった。オーディションで彼女が部屋に入ってきた瞬間、心底びっくりしたよ。外見はまさにディズニーのプリンセスそのものだったから。そして、心の中で「どうか、役を正直な気持ちで演じてくれ!」と思った。それまでの候補者は、キャラクターを茶化したように演じる女優ばかりたんだ。エイミーだけが誠実に演じてくれたんだよ。

スーザンを選んだのは、一つにはこの華美な悪役を演じられるだけの女優であること。それと、過去にこういった役を演じたことのない女優を探していたんだ。例えばグレン・クローズはイメージはぴったりだけど、すでに「101」や「102」で演じているからね。


――プレス資料によるとスーザン・サランドンとはかなりやりとりをされたそうですが、具体的にはどのようなことを話し合われたのですか?

僕はスーザンだけではなく、特にアニメーションのキャラクターを演じた役者とは、役についてじっくり話し合った。というのも、役者にはキャラクターを茶化すのではなく、誠実に演じて欲しいと思ったからだ。例えば、「ディズニーのプリンセスとは?」とか、「彼女たちが心に秘めているものって何?」とか、そういったことは本当によく話し合ったよ。今回アニメのキャラクターを実写で演じてもらう際に一番避けたかったのは、役者が漫画のような行過ぎた大げさな演技になってしまうことだった。スーザンの場合は特に悪役だから、大げさになりがちだ。でも、そうではなく、あくまでディズニーのキャラクターを演じるということを考えてもらうことが重要だったんだ。
ディズニーアニメに魅力的な悪役が欠かせませんが、監督が特に好きな悪役を教えてください。
とても難しい質問だね。本作のナリッサはこれまでのディズニーの悪役を全て合わせたようなキャラクターにしたくらいだからね。でも、おそらく最も気に入っている一人は「眠れる森の美女」のマレフィセントかな。彼女はとても邪悪だが、実は真の目的もなくやっていそうなところが好きだよ。ただイライラしているだけだろう(笑)? それでいて容姿は実に素晴らしくて、立ち姿もとても格好いい。とても好きな悪党だよ。
初めて観たディズニーアニメは覚えていますか?
もちろん! 5歳の頃に観た「ジャングル・ブック」だよ。母が言うには、僕は観終わったあとスクリーンを指して、「大きくなったらあれを作るんだ」って言ったそうなんだ。まだ5歳なのに!(笑) えらく長い道のりだったけど、僕は物心ついたころにディズニー作品を観てまさに子供の頃からの夢を追い続けてきたんだ。母は僕の夢について最初のうちはまるで本気にしていなかったけど、今は驚いてるよ。5歳で言ったことをやり遂げたわけだからね(笑)。
編集部の呟き
少年のように瞳をキラキラと輝かせて語ってくださったリマ監督。前日に行われた記者会見でもピップの声を披露して一番の拍手をさらっていたが、あのあとテレビ媒体の取材では必ずリクエストされてしまったんだとか。そんな監督の名演技(←本当に)も見られる『魔法にかけられて』は、ディズニーアニメ好きには特にたまらない、嬉しい仕掛けが満載の作品。劇場で心ゆくまで楽しみたい一本だ。
(取材・文・写真:山内真理子)
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