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| なんでブルーベリーにしたかって言うと、ノラが一番嫌いなパイがブルーベリーパイだって言ったからさ(笑)
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| 07年カンヌ国際映画祭のオープニングを飾った話題作がついに日本上陸!日本でも人気のウォン・カーウァイ監督がハリウッドに進出した初めての全編英語の作品は、グラミー賞8冠に輝く歌姫ノラ・ジョーンズ映画初出演にして主演作でもある。時に切なく時にあたたかい極上のスイーツのようなラヴストーリーを撮り上げたカーウァイ監督が、この作品の誕生秘話など語ってくれた。
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[ウォン・カーウァイ監督] 1958年、上海生まれ。5歳のときに両親と共に香港へ移り住む。脚本家として映画界入りし、1989年に映画監督に。その卓越した才能で瞬く間に名監督の地位を築く。「楽園の瑕」(94)のポスト・プロダクション中に撮影した「恋する惑星」(94)は世界各国でカルトヒットし、97年の「ブエノスアイレス」はカンヌ映画祭で最優秀監督賞に輝いた。また00年にカンヌ映画祭に出品された「花様年華」(00)は、トニー・レオンの主演男優賞獲得をはじめ、数々の栄誉に輝いている。その他主な監督作に、「いますぐ抱きしめたい」(88)、「天使の涙」(95)、「2046」(04)など。06年、第59回カンヌ映画祭の審査員長を務めた。
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「マイ・ブルーベリー・ナイツ」
配給:アスミック・エース
3月22日(土)、日比谷スカラ座ほか東宝洋画系にて全国拡大ロードショー
オフィシャルサイト |
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| この作品の中で監督が一番好きなシーンはどこですか? |
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二つあるんだけど、まずはノラ(・ジョーンズ)が演じるエリザベスとジュード(・ロウ)が演じるジェレミーの最初のキスシーン。あとひとつはジェレミーの店に彼の昔の恋人が会いにくるところだね。
――それはなぜ?
まさに男の理想でしょう?(笑)新たな恋が訪れる予感と同時に、前の恋人とも良い関係が築けるんだから。男の勝手な理想(笑)。
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| 今回、初の全編英語&アメリカを舞台にした作品ということで、脚本も前もって準備されていたそうですが(編註:カーウァイ監督の現場では、俳優は撮影当日まで脚本を渡されないことが普通だそう)、実際の現場はやはり今までと違いましたか?
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| ハリウッドのシステムは香港とは違うんだ。まず組合があって、その決まりに従わないといけない。あと脚本が早く仕上がったとはいえ、撮影しながら役者たちの演技をみてどんどん修正していくこともあったよ。撮影自体は8週間で、いつもより短かったんだけど、その間に4都市を周らなければならず、体力的にはつらかったね。でもとにかく自分にとって新しく、楽しい経験だったことは確かだよ。
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| ポスターにもなっているエリザベスとジェレミーのキスは、色使いもポーズもとてもきれいだと思いました。このイメージは最初から決まっていたんですか? |
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| そう、この絵は初めから頭の中にあったんだ。ジェレミーの店では二人の間にいつもカウンターがあって、このカウンターを挟んで会話をしたりものを食べたりしていた。だから二人の距離が近づくことを表現するために、こういうキスシーンで明確に表したかったんだ。でもこの撮影には役者もスタッフもとても苦労したよ。簡単そうに見えるかもしれないけど、今回一番苦労したかもしれない。狭い店内にカメラを据えて色んなアングルから何度も撮り、その間ノラはずっと一定の角度に頭を固定していなければならなかったし、ジュードに至っては撮影の間中、体操選手みたいに自分の体を支えていたんだ。
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| 監督は以前にもフェイ・ウォンなど俳優以外の人を起用していらっしゃるので、ご自身にとってはさして特別なことではないかもしれませんが、今回ノラを起用するに至った経緯を教えていただけますか?
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| 最初ノラには曲を作ってもらおうと思ったんだ。そうしたら彼女自身、映画がすごく好きで、しかも僕の作品のファンだということが分かって、それだったら出演してみる?って流れになったんだよ。ノラは非常にストレートで、自信に溢れてまっすぐな女性だ。その人柄にまず魅かれたね。しかも才能がある。そういう女性が映画に出たらどうなるんだろうと思ってね。今回アメリカで撮ったのも、ノラが向こうにいたからというのが一番大きい理由だよ。
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| この作品は「花様年華」に入るはずだった短編が膨らんだという話を聞いたのですが、元々はどういうお話だったんですか?
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| 本来は三つのエピソードから成る短編だった。その全てが食べ物にまつわるもので、ひとつは現代のファストフード店が舞台。そのストーリーが今回の映画に非常に近いね。ふたつ目は60年代のレストランでの男女の会話に基づいたエピソード。みっつ目は撮らなかったから具体的には考えていない(笑)。とにかくこの作品の基となるエピソードが非常に気に入っていたので、短編ではなく膨らまそうと思ったんだ。
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| 本作ではブルーベリーパイがエリザベスとジェレミーの恋愛にとって大きなカギとなっていますが、ブルーベリーパイ以外に候補に挙がった食べ物はなかったんですか? |
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他にも候補はあったんだけど、今回ブルーベリーパイを用いたのはあの二人の間に起きた一瞬のきもちを表現するのに一番合っていると思ったからなんだ。好きな人を見たり思ったりすると胸がぎゅうっとなることがあると思うけど、エリザベスがあとになってジェレミーとの間の何を思い出すかという時に、具体的な会話やお店の様子ではなく、彼が作ってくれたあのブルーベリーパイを食べた時に自分の口の中に残った味だと僕は思ったんだよ。
ちなみになんでブルーベリーにしたかって言うと、ノラが一番嫌いなパイがブルーベリーパイだって言ったからさ(笑)。 |
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とにかく昔から大好きだったカーウァイ監督にインタビューできるということで、もう本当に夢のようだったんですが、もしかして気難しい方だったらどうしよう…と緊張しつつ臨んだ取材当日。お決まりのサングラスとスーツ姿で部屋に入ってくるなり、「この映画どうだった?」とのっけから気さくさ全開で、取材中も逆にこちらが質問されるなど、とてもフレンドリーで優しい方でした。そうそう、とても背が高かったんです。個人的にとても驚いたので。
(取材・文・写真:星野ロカ)
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