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『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』佐藤江梨子、佐津川愛美インタビュー
『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』佐藤江梨子、佐津川愛美インタビュー
見ていて飽きないジェットコースタームービーです
自身の劇団「劇団、本谷有希子」を率い、三島由紀夫賞・芥川賞ノミネートなど、新進気鋭の女流作家としても注目される本谷有希子の人気戯曲が豪華キャスト・スタッフを迎えて初めて映画化された。第60回カンヌ国際映画祭批評家週間に正式招待され、すでに注目度が集まっている本作。公式上映前にカンヌ入りした、女優を目指している、豪華で可憐だが、自意識過剰な勘違い女、姉・澄伽を演じる佐藤江梨子と、姉に怯えつつも、罪悪感に苛まれながらこっそり漫画を描き続ける妹・清深を演じる佐津川愛美に、話を聞いた。
profile
[佐藤江梨子]
1981年12月19日生まれ。東京都出身。TVドラマ・CM・映画・舞台・執筆活動と、タレント・女優として幅広いジャンルでの活躍が目覚しい。7月5日スタートの連続ドラマ『菊次郎とさき』(テレビ朝日系毎週木曜21時〜)に湯川美智子役で出演。12日に創刊される『Feel Love』(祥伝社)では、巻頭で石田衣良、唯川 恵とリレー式でコラボ小説の連載が始まる。今年は白石晃士監督作の主演映画『口裂け女』に続き、本作品、そして来年の冬には羽住英一郎監督『銀色のシーズン』の公開が控える。

[佐津川愛美]
1988年8月20日生まれ。静岡県出身。黒土三男監督『蝉しぐれ』で、ヒロイン役に大抜擢され、女優として鮮烈なデビューを飾る。その後、太田隆文監督『海と夕日と彼女の涙〜ストロベリーフィールズ』、横山一洋監督『天まであがれ!!』、小田一生監督『笑う大天使』、堀江慶監督『真夜中の少女たち』に立て続けに出演し、今これからが最も注目される女優の1人である。
『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』
配給:ファントム・フィルム
7月7日、シネマライズ他にて全国ロードショー
オフィシャルサイト
最初脚本を頂いた時に本作のどういうところに魅力を感じましたか?
佐藤江梨子:まず出てくるキャラクターがみんなとても変わっていて面白いことですね。ストーリーももちろん面白いんですが、私が演じた澄伽(すみか)は特にエキセントリックな役なので、演じる上で興味深いと思いました。

佐津川愛美:私も同じく話が面白いと思いました。でも読んでいくうちに、人間って怖い、とも思いましたね。実際に演じてみると、どのキャラクターもすごく個性が濃く、普通の人がいないんですね。それがとても面白く絡んでいくので、すごい話だなと思いました。
今回お二人は仲の悪い姉妹役を演じていますが、実際共演されての印象はいかがですか?
佐藤江梨子:可愛いなーと思って見とれてました。申し訳ないなーと思いながら。

佐津川愛美:なんでですか! 映画の中では私は結構ダサい子で、地味なんですが、お姉ちゃんはスタイルがとても良くて、うらやましいなと思って見てました。

佐藤江梨子:私も地味になりたいんですよ。普段の私は清深の方ですから。ジャージとかちゃんちゃんことか着て地味に過ごしてますよ(笑)。
今回二人が演じた役は性格的にとても癖のある役がらですが、実際の自分との共通点はありますか?
佐藤江梨子:私は若い頃は結構目立ちたがり屋だったんですよ。今でもそうだと言われますが(笑)。だから澄伽のそういう気持ちはよく分かりますね。あとは、人間どこかで人に恨みを持っていたりとか、ちょっと負けず嫌いなところだったりとか、そういうところが似てますね。

佐津川愛美:私は、慣れると平気なんですけど、初対面の方だと言いたいことも言えないタイプなので、お姉ちゃんからいじめられるのが怖くて何も言えない清美の気持ちは理解できます。でも人間的には、お姉ちゃんより清美の方が結構ズルかったりすると思うんですよね(笑)。
本作が長編一作目となる吉田大八監督ですが、監督はどんな方ですか?
佐藤江梨子:すごく素敵な方ですよ。ぱっと見キテレツ君みたいな方ですけど(笑)。でも昨日ちょっと思ったのは、監督の中に澄伽がいるんじゃないかな、と思いましたね。

インタビュアー:どういう時に思ったんですか?

佐藤江梨子:カンヌに来る時に、監督の仕切りで、一度成田空港で皆で集まったんですが、監督が来ないので電話したら「じゃあ、機内で」といって一人で行っちゃったんですよ。信じられないでしょう(笑)! 全員監督を待っていたのに、「あれ、監督はー?」とか言ってたら、先に入っちゃったなんて。そういうちょっと自由な感じというか、猫っぽいところが澄伽っぽいな、と思いましたね。私はそこまでは出来ませんから。さすがに「機内で!」とは言えないです(笑)。

佐津川愛美:CM出身の監督だからだと思うんですけど、すごい細かいところまでこだわりをお持ちでしたね。なんとなくで見せたりするのではなくて、全体的に結構こだわってらっしゃって、細かい指示もかなりありました。でも監督は、長編を撮るのが初めてだったから、自分の中ではこれが普通だと思ってたみたいですけど。他の監督と比べても細かく、こだわってらっしゃる方だと思います。

佐藤江梨子:私はテイク数が多い監督だなと思いましたね。でも、変な風にはしないだろうという安心感がありました。例えば、普通にシーンをとる場合、気づき芝居で「あっ!」ってびっくりするシーンがあったとしたら、女優さんは大抵カットの声がかかってもそのびっくりした表情をそのまま保つんですよね。でも、実際VTRで見てみると意外に「あ、この人芝居もうやめた」とか結構分かるんですよ。 でも吉田監督の場合は、そういう風にはしないだろう、という安心感があったので、何テイク撮っても嫌にはなりませんでした。でもたまにあまりにもテイク数が多いと、「もういいじゃないですかー?」とか言ったりしてアピールしてましたけど(笑)。

インタビュアー:(笑)

佐藤江梨子:ものを取るだけのシーンでも10回以上撮ってましたから。あー、だんだん何がいいのか分からなくなってきたなーって思ってました(笑)。
実際に映画を見られての感想はいかがでしたか?
佐藤江梨子:映画っぽい!と思いました。見ていて飽きないジェットコースタームービーだなーと。

佐津川愛美:私もまず面白いと思いました。台本だけ読むと、もっと暗い感じなのかな、と思ったんですが、面白く出来上がっていたのですごい意外でしたね。こんなに凝った映像になってたとは思いませんでした。
永瀬正敏さんや、永作博美さんといったベテランの方たちも出演されてますが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
佐藤江梨子:面白かったですよ。永瀬さんも永作さんも優しかったです。皆で黙々と宿題してました。

インタビュアー:宿題?

佐津川愛美:ちょうど私が高校三年生の夏休みで、宿題がたくさん残っていてヤバイと思っていたら…(笑)。

佐藤江梨子:漢字の宿題なんかは、皆で携帯で検索して正解を見つけてましたね。永瀬さんが間違った漢字を言ったりすると、永作さんが「こっちの漢字です!」と言って怒ったりしてました(笑)。あの時は映画とは違って、亭主関白じゃなかったですね。

佐津川愛美:本当に皆さんが手伝って下さったんですよ。感謝しています(笑)。

インタビュアー:誰が一番手伝ってくれたんですか?

佐津川愛美:永瀬さんですね。ひたすら携帯で調べてくれました。

佐藤江梨子:でも書いたのは永作さんです。さすがにバレますよ、って言ったんですけど(笑)。最初は皆、自分っでやった方がいいんじゃないって雰囲気だったんですが、さすがに時間がなくなってきて、これはヤバイみたいな感じで手伝っていました。
では、最後にフランス人の前で本作が上映されることについて、何か意気込みなどがありましたら教えて下さい。
佐津川愛美:演じていた時に、私はすごく真剣に演じたつもりだったのに、皆から爆笑されたシーンがあったんですよ。そういう笑いのつぼというか、受け入れられ方がフランスの方や海外の方になるとどうなるのかな、と。どういうところで笑ってくれたりするのかな、と思うとすごく楽しみですね。

佐藤江梨子:私は役も自分自身も起伏が激しい、疲れる、分からないと言われがちなんですけど、海外の人がこの起伏についてきて下さるかどうかが楽しみですね。「普通だな」と思って見て下されば嬉しいです。
編集部の呟き
今年にカンヌ国際映画祭は、日本からは松本人志、木村拓哉、北野武と大御所の話題ばかりが先行していたが、実は現地では本作の評判がとても良かった。今までの日本映画にはないエキセントリックな仕上がりと、人間の奥ゆかしくも裏を返せば毒々しい感情の描写が、高い評価を得ている本作。 主演の佐藤江梨子さんは、テレビのイメージのまま、さばさばとしたお姉さんタイプ。一方、妹役の佐津川愛美さんは、スクリーンよりぐっと大人っぽくみえた。そんな2人がインタビュー中にじゃれあっている様子を見ると、とても劇中で火花を散らせていた姉妹とは思えないほど仲睦まじく、見ていてほのぼのしてしまった。
(取材・文・写真:篠原藍)
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