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『チャーリーとパパの飛行機』セドリック・カーン監督単独インタビュー
『チャーリーとパパの飛行機』セドリック・カーン監督単独インタビュー
本作が私の生涯でたった1本の子供向けの映画になることは間違いないでしょう
『倦怠』や『ロベルト・スッコ』といった作家性の強い作風で知られるフランス映画界の鬼才セドリック・カーン監督が、これまでと全く違うジャンルに挑んだファンタジー作品『チャーリーとパパの飛行機』が、いよいよ9月1日より公開!フランス映画祭2007のために今年3月に来日したカーン監督のインタビューをお届けしよう。
profile
[セドリック・カーン監督]
1966年、パリ生まれ。21才のとき、フィルム編集のヤン・デデのアシスタントとして働き始め、モーリス・ピアラ監督の『悪魔の陽の下に』の撮影に携わった。89年、ビデオで撮影した初の短編作品『Nadir』を発表した後、翌年に短編『Les Dernieres Heures du Millenaire』を発表、同年、ブリジット・ルーアン監督の『Outremer』の脚本、93年には、ローランス・フェレイラ・バルボッサ監督の『おせっかいな天使』の脚本脚本を手がけた。93年、『Bar des rails』で長編監督デビュー。同作はヴェネチア国際映画祭批評家週間に出品される。また新人俳優たちを使った長編2作目の『Trop de Bonheur』(94)はジャン・ヴィゴ賞を獲得した。98年には、アルベルト・モラヴィア原作の『倦怠』を発表し、ルイ・デリュック賞を受賞。またモントリオール世界映画祭のアメリカ・グランプリにもノミネートされた。01年には、実在したイタリアの連続殺人犯ロベルト・スッコのノンフィクションをもとに衝撃作『ロベルト・スッコ』を発表し、カンヌ国際映画祭のコンペティションに出品された。04年にはジョルジュ・シムノン原作のスリラー『Feux Rouges』で、アルコール依存の夫と妻との間の諍いからミステリアスな展開を繰り広げた。この作品は、ベルリン映画祭コンペティションに出品され、インディペンデント・スピリット・アワードの最優秀外国語映画賞にもノミネートされた05年の本作『チャーリーとパパの飛行機』を発表したのち、最新作はスノッブなパリの女性と臆病な男の恋愛を描いたコメディ『Les Ambitieux』(06)。
『チャーリーとパパの飛行機』
配給:ワイズポリシー
9月1日(土)よりシネ・リーブル池袋ほか全国順次ロードショー
オフィシャルサイト
この映画を作ろうと思ったきっかけをお聞かせください。
自分の子供たちに見せられる映画を撮りたいと思ったのがきっかけです。私には3人の子供がいますが、ある日息子に「なんでパパの映画は観ちゃいけないの?」と聞かれたんです。

Q:ファンタジーを撮りたいというお気持ちはその前からあったのですか?

子供たちに見せられる映画を作りたいという気持ちは以前から漠然と持っていました。でも、本作が私の生涯でたった1本の子供向けの映画になることは間違いありませんね。 フランス映画の伝統の中に子供映画はなく、子供向けの映画を作るということ自体がとても難しいのです。そういう意味でプロデューサーを説得するのはとても難しかったですね。

Q:お子さんからはどのような反応がありましたか?

とても喜んでくれました。「続きはないの?」と聞かれたくらいです。
本作の原作となったコミック『Charly』との出会いについてお聞かせください。フランスでは有名な漫画なのですか?
コミック自体はフランスではあまり有名ではなく、漫画好きの人だけが知っているようなものです。私がこの作品に惹かれたのは、“おもちゃに死んだ父親の魂が乗り移る”という部分です。その部分だけを抽出してこの映画に取り入れましたといってもいいでしょう。この部分以外は、全て映画のオリジナルです。漫画はティーンエイジャーを対象にしていると思うのですが、私はもっと小さな子供たちのためのおとぎ話を作りたかったのです。
この作品で最も伝えたかったことはどんなことですか?
言葉で説明するのはすごく難しいのですが、やはり“信じる”ということです。私は想像力こそが自分を試練に立ち向かわせてくれるものだと思っていますし、映画というのもそういう存在だと思うんですね。自分が頭で思い描くもの、夢のようなことが自分が遭遇する悲しさや困難を乗り越えさせてくれるというか。そういうことを伝えたかったのです。
『チャーリーとパパの飛行機』セドリック・カーン監督単独インタビュー
チャーリーを演じたロメオ君がとても愛らしかったです。彼を起用した理由は? また、実際お仕事をしてみていかがでしたか?
ロメオを起用したのは、何よりも演技力があったからです。台詞を読ませても、身体を動かさせてもとてもうまくこなす資質を兼ね備えた子でした。それに、彼は天使のようなとても可愛らしい顔つきをしていますが、同時に神秘的でミステリアスなものを秘めているんですね。そういう意味でも役柄に合っていると思いました。現場では、彼に対してだけではないのですが、できるだけシンプルに作業を進めることを意識しました。
イザベル・カレさん、ヴァンサン・ランドンさんと仕事をする魅力についてお聞かせください。
お二人ともとても素晴らしい役者ですし、特に子供の両親を演じるのにとてもふさわしいと思います。イザベル・カレさんは優しくて弱い母親を演じるのに適役だと思いますね。ヴァンサン・ランドンさんは強い父親を演じましたが、あの強さがあったからこそ、彼の死後に残された母子のシーンが撮れたと思います。

イザベル・カレさんとは非常にスムーズに仕事が進みました。彼女は常に監督の側にいて、こちらの望むことを探るタイプの人です。私は早い段階から彼女が自分と同じ考えをもってこの作品に臨んでいることがわかっていましたので、とてもやりやすかったですね。
監督が映画を作る上で一番大切にしていることは?
全てに対して妥協しないことです。……とは言ってもそれはまず無理なので(笑)、“賢く妥協しないこと”を大切にしています。映画作りはお金もとてもかかりますし、周囲の影響を無視することはできませんが、できるだけ妥協はしたくはないですね。
これから本作を観る日本の観客に伝えたいことはありますか?
本作は今までのフランス映画にはないタイプの作品です。今までのフランス映画は、心理的で、いわゆる大人の映画というイメージだと思いますが、本作は詩的でナイーブな映画です。これをきっかけにフランス映画の存在を見直していただければと思います。
編集部の呟き
コワモテながら、ときに優しい笑顔を見せつつ語ってくれたカーン監督。フランス映画祭の真っ最中で、少々慌しい雰囲気の中で行なわれた取材だったのを思い出します。日本では公開作『倦怠』や『ロベルト・スッコ』といった過激な作風で知られる監督ですが、『チャーリーとパパの飛行機』は同じ人が撮ったとは思えない心温まるファンタジー。ぜひ劇場でお楽しみあれ!
(取材・文・写真:山内真理子)
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