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| 不倫が文化なわけじゃないですよ。不倫という言葉が文化なんです
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| 満たされているはずの二人の心には、他人からは見えない“孤独”という名の隙間が…。深く深く愛すれば愛するほど、その隙間はせせらぎから大河の如く広がっていく―。『失楽園』『愛の流刑地』で知られる渡辺淳一による、禁じられた純愛模様を描いた『マリッジリング』。会社や家庭で悩みを抱えながら、そこから逃避するかのように部下のOLと禁断の関係を結ぶサラリーマンを演じた保阪尚希さん。現在、連続ドラマ『愛の迷宮』でも2人の女性を相手に愛憎劇を繰り広げる主人公を熱演している保阪さんに、今回の作品について、そして保阪さん自身のことについてたっぷりとお話を聞きました。
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[保阪尚希] 1967年、静岡県出身。86年にTVドラマ『この子誰の子?』でドラマデビュー。その後も数多くの映画、TVドラマに出演する他、バラエティー番組やCF等でも活躍。二枚目ながら独特の性格俳優として人気を集めている。また、車や釣りなど幅広い趣味とその造詣の深さでも知られている。主な出演作品には、『パ☆テ☆オ』(92)、『ムルデカ 17805』(01)、『銃声』(03)、『極道の妻たち 情炎』(05)、『蒼き狼 地果て海尽きるまで』(06)などがある。
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『マリッジリング』
配給:アートポート
2007年12月8日、銀座シネパトスほか全国順次ロードショー
オフィシャルサイト |
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ストーリーが非常に日常的というか、どこにでもあるような社内恋愛という印象でした。なので、通常、映画とか芝居って日常をぎゅっと圧縮して切り取っていくので、もう少し山があったり事件があったりするんですよ。起承転結というか。その“起”を作りながら演じていくんですけど、この物語は非常に平らというか山がない。そのイン・アウトが難しい作品でしたね。この二人はどこで惹かれて出会って、どこで別れていくかとか、どのくらい燃えてるのもがあって、というのが非常に難しかったです。なんとなく似たような二人なんですよ。だからあまり言葉数もなく自然に惹かれ合っていくんですが、それを映像にするとなると難しい。どこにパワーバランスを置くか、どこに山をもってくるか、どこを落としていくかといった作りこみが難しかったですね。
――保坂さんはこういった社内恋愛は現実的に起こりうると思いますか?
あるんじゃないかな。ないと思うほうが不思議だよね。じゃなかったら“社内恋愛”って言葉が出てこないと思う。言葉って結局文化だから、皆がそれを良しと思わなければ認められないわけだから。そして“社内恋愛”という言葉は既に成立し、浸透しているわけですから。
結局、社内恋愛のシチュエーションて、学生のときの延長に近いと思うんですよ。学生の時って同じクラスの子とか、同じ学校の子を好きになるでしょう?それってそこしか知り合う世界がないからだと思うんです。普通、例えば一般のサラリーマンとかは毎日ほぼずっと会社にいるわけで、メンバーチェンジがないわけですよね。この映画では、たまたまメンバーチェンジが起こった。転校生が来たわけです。カッコイイ男の子が転校してきたら「あっ、あの人カッコイイ」ってなるでしょ(笑)。その辺が一緒なんだよね。子供の頃は学校だったシチュエーションが、大人になって職場に変わったっていうことなんで、誰もがこういうことあるなと共感できるストーリーだと思いますよ。
――「不倫は文化だ」と石田純一さんがおっしゃっていましたが…?
不倫が文化なわけじゃないですよ。不倫という言葉が文化なんです。そこを間違えてしゃべっちゃったからおかしくなっちゃっただけで。不倫は文化じゃないです。不倫は行為ですから。 |
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| 映画の始めの方で、「男って勝手よね」というセリフが出てくるのですが、これについてはどう思いますか?
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この映画はあまり女性のことを考えていないというか、基本的には男性目線で、こんな女の子がいてこういう恋愛ができてこんな感じでセックスして…という物語ですよね。終わりにしても、男からみたらうまく手を打っているんですよ(笑)。そういう意味では非常に男性寄りというか、「そんなことあるわけないじゃん」って思いながら、こうなってほしいみたいな、そういう部分があるんですよね。
――「こうなってほしいという部分では、最後に女性がマリッジリングをはずしてくれたらって思っていたという場面がありますが…
いや、それは女の子の方の目線じゃないですか。男性からみたストーリー展開ですから。パワーバランスなんですけど、どちらかといえば男性寄りに見ていく方がすんなり見られると思うんですよね。スタッフも男の人が多かったですし、監督も僕と同い年でしたから、そういう意味でもやっぱり男性目線の映画だと思います。
――ではそのマリッジリングをはずしたときの主人公はどんな気持ちだったのですか?
思っていたよりも自分のほうがハマったというか…。友人から、彼女をハメちゃって可哀想にって言われるんですけど、実はハマっていたのは彼の方で。それも男のエゴで、リングをはずしたことによって、お前だけだよ、みたいな…。そこらへんを表現したら喜ぶんじゃないかなっていう男性目線で進んでいったら、向こうは違っていたっていう…。ある種したたかといえばしたたかなんですけど、そういう関係がこのままだったら、みたいな部分はぬるいというか、女性の方がクールに描かれていると思いますね。 |
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| 今回原作が『失楽園』を書いた渡辺淳一さんですが、本作は『失楽園』よりも割とさらっと観られると思いました。ご自身はどう感じましたか?
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| そうですね、裏はないですね。でも裏の仕掛けがないので、役者としては非常にやりにくい。表現の場がないというか…。あるんですけど、ただ出会って、恋に落ちて、やりすぎちゃったっていうところにどう緩急をつけていくかというところが醍醐味なんでしょうけど、非常に難しいですね。こういう作品はあまりないですよ。 |
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| 保阪さんは現在、TVドラマ『愛の迷宮』でも熱演されていますが、そちらも割とベットシーンが多いですよね?恋愛関係の役は得意とされているんですか?
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そうですね、そういう役は割と多いのかなぁ。男性って面倒くさいですよね。女性が脱ぐ意味っていう方が強いんで。むしろ男が脱ぐ意味ってほとんどないですよ。男は洋服着てて、女は全部脱いでっていうシーンもありますし。その意味はどうしてもありますし、そうなってくると、女性が綺麗に映らなきゃいけないというのが大前提にあるんですよね。男性陣はそれをいかに邪魔しないかなんですよ。AVのように、ただやればいいっていうものではないので。
ただ今回残念だったのは、ほとんど同じようなカットしか映像として使われていなかったことです。実際はもっと激しいシーンだったりしたんですけど。激しさの違いで、今は恋愛なのか、ただのセックスなのかを表現できる部分があるんですが、その描写がないので、割と物足りなかったりするかもしれないです。想像させるカットがなかったので、それが非常に惜しいかな。 |
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| 先ほど学生時代の延長だとおっしゃっていましたが、保阪さんは学生時代どのような恋愛をされていたんですか? |
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| 僕は残念ながら13歳から芸能界に入っているので、普通の学生が経験するような恋愛はなかったですね。でも常に周りに女の子がいましたから。僕がモテないわけないじゃないですか(笑)。バレンタインデーのチョコとか1個や2個とか、そんなんじゃなかったですからね。
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名前を変えたから、っていうのはないですね。ずっと本名ですし、基本的に本名はずっと生きてるわけで、実名を変えたわけではないので。女性は結婚して本名が変わったりしますけど、男はほぼ一生変わらないので。あと、僕の場合、だいたい番組の企画で変えているので、何かあったから変えなきゃっていうものではないのでね。
――でも画数が違いますよね?
画数はそもそも親がじっくり考えて決めてくれるものなので、最初から変な画数とか名前とかはつけないじゃないですか。せめて親がくれた名前は大切にしないと。一番最初にもらえるものが名前じゃないですか。愛する子供に対して真剣に考えてつけるものなんだから“悪魔くん”なんて駄目ですよ。それは役所の許可が降りなかったって話ですけど。
うちは長男坊ができたときに、男の子で日本人だから“太郎”ってつけようと思ったんです。太郎の上に何つけようって考えて、最初“桃太郎”ってつけようと思ったんだけど、俺より大きくなるから、大きくなったらぶっ飛ばされると思って桃太郎はやめて(笑)。結局“虎太朗”にしたんですけど。そしたら同じ名前が日本中に結構いて(笑)。河本君ちの長男坊も虎太朗ってまったく同じ名前で。うち画数で取ったんですけど、“ロウ”は朗らかの“朗”にして、そんなのどう考えてもうちの保阪姓にしか合わないのに(笑)。
まぁ僕は名前を変えたいっていう人の気持ちはわからないですね。一番最初にもらうものだし、そんな画数なんかで人生変わらないと思うし。画数で人生変わるならみんな名前変えますよ(笑)。 |
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| 色々なところで聞かれていると思うのですが、出家されてからは何か変化はありましたか?
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出家は本当にたまたまというか、僕、宗教家でもありませんし。一応入り口には立っているのですが、そこから上、高僧を目指しているわけでなないので。ほんとうの宗教家の方たちは、1000日間荒行に入ったりするわけですよ。1000日って3年間ですよ。そんな長い間人っ子一人いない所で修行に入るわけです。大抵の場合精神が駄目になってしまうか、それを突き抜けて悟りを開くかだそうですが、そうやって高い地位を得て、彼らは何かを伝えていくわけですよね。僕はもともとそこまでの意思はないので。
親にこの世に生んでもらって、名前をもらって…まあ僕は早くから親はいないんですけど。今の若者がどうか知りませんが、例えば大学出て初任給もらって、お袋にマフラーを買ってあげたとか、そういうのがないんです。だから完全に自己流ですよね。ひとりで何でもこなせますよ、家事から何まで。どっちが家事をやるとかそういう感覚も持ってないですから。親父がちゃぶ台ひっくり返したとか、お袋と喧嘩したとか、酔っ払って帰ってきたとか、そういう記憶が一切ない。だから早くに自立したんだと思います。
でも実際お坊さんになれたので、そういう意味ではこれも何かの運命だと思っています。自分よりつらい境遇の人たちっていっぱいいると思うんですよ。僕、小学校の頃、「しんじゅ」って呼ばれてたんです。でもその意味が分からなくて、「真珠きれいだな」って思っていたら、本当は無理心中の“しんじゅ”のことで、それを真珠と間違えてたんですよ。自分は何とも思わなかったんですけど、でも周りからしたら、可哀そうな境遇で病んでるとか思われていたんでしょうね。
そういうのを受けて、いまの子供たちがテレビで僕のことを見て、「おっちゃんがなにかやってるけど、この人は自分がそういう境遇だったから、もしかしたら僕たちのことを分かってくれるかもしれない」というふうに理解してくれているような気がするんですよ。決して良い人にみえたわけじゃないと思うんです。TVでは大抵悪い役やってますから。怖い役も多いし、男の子からは特に怖いと思われていますから。でもだから逆に、周りの大人とは違って何かを教えてくれるんじゃないか、とも感じてくれてるんじゃないかと思うんです。 |
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| 保阪さんご自身について色々伺ってきましたが、最後にこれから映画をご覧になる方々にぜひ見所を教えてください
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| 本当にどこにでもある、あってほしいと思うような社内恋愛のパターンでしょうか。この人、得ですよ。結局奥さんには許されるし、奥さんは不倫知ってるんですから。その上で許されてる。本当に男目線で理想的ですね(笑)。 |
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保阪さんが普段演じている役柄のせいか、私も保阪さんって怖い方なのかなと少し思っていました。しかし話してみると、いろんなことをものすごく深く真剣に話してくださって、30分の予定が、終わって時計をみたらなんと1時間経っていました!中でも冗談を真剣な顔で言ったり、それが本気で言っているのか冗談で言っているのか分からないくらいに真剣な表情だったのが印象的でした(笑)。最近ブログを始めた保阪さん。見てくれる方々から相談や悩み事を募集して、みんなで作り上げるブログにしていきたいとおっしゃっていました。難しい中、保阪さんが複雑な関係を情熱的に演じた『マリッジリング』。本作を劇場で観て、その感想をぜひブログの方に書き込んでみてはいかがでしょうか。
(取材・文・写真:浦川瞳)
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