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インタビュー
『マイティ・ハート/愛と絆』アンジェリーナ・ジョリー インタビュー
『マイティ・ハート/愛と絆』アンジェリーナ・ジョリー インタビュー
(C)Alec Michael/Globe Photos/NANA TSUSHIN
もし妊娠の経験がなかったら、すごく大袈裟に演じてしまったり、妊婦がとらないような行動をとってしまうと思うの
02年、パキスタンで取材中に誘拐され殺されたウォールストリート・ジャーナルの記者、ダニエル・パール事件の真相を綴った、ダニエルの妻マリアンヌによる手記を映画化した本作品。手記に深い感銘を受け、映画化権を即買い取ったブラッド・ピットが製作に名を連ねていることも話題となっている。本作で、マリアンヌ役を熱演し、二度目のオスカーの期待もかかるアンジェリーナ・ジョリーが、この作品に懸けた熱い思い、そして自身の私生活など、赤裸々に語った。
profile
[アンジェリーナ・ジョリー]
1975年、米ロサンゼルス出身。ハリウッドを代表する人気女優のひとりであり、99年の『17歳のカルテ』では見事にオスカーを受賞。本作での演技も世界中のメディアで絶賛され、2度目のオスカーへの期待もかかる。女優業の他に、01年からはUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の親善大使も務めており、慈善活動にも力を注いでいる。『Mr.&Mrs. スミス』(05)で共演したブラッド・ピットとの間に、一人の実子と三人の養子がおり、家族は常に世界中の注目の的。主な出演作品は、『トゥームレイダー』(01)、『ボーン・コレクター』(99)、『グッド・シェパード』(06)など。
『マイティ・ハート/愛と絆』
配給:UIP映画
11月23日(金/祝)、TOHOシネマズ六本木ヒルズ他、全国ロードショー
オフィシャルサイト
今回の企画はどのようにスタートしたのですか?あなたとブラッドで進めていったのですか?
私が加わったのは最後の方よ。マリアンヌとは面識はあったけど、単に子供を持つ母親同士として知り合っただけだった。ブラッドが独自に映画化権を取ったの。そして、二人は何度か会って話すようになって、その内に彼女もブラッドを信用してくれて、「よしそれじゃあ映画にしよう、マリアンヌ、君はどう思う?」という感じに進んでいったのよ。それで、キャスティングの段階になったら彼女が私を推薦してくれたというわけ。すごく嬉しかったわ。
この映画の出演が決まって、どう思いましたか。
気が気じゃなかったわ。あんなことは初めて。仕事に対してはもちろん真剣に取り組むけど、気張らずにやるほうなの。夜、眠れないなんて初めてだったわ。

撮影前夜はこんなことになったらどうしよう、あんなことになったらどうしようと焼きもきしっぱなし。とても尊敬している女性を自分が演じられるわけがない、申し訳なく思えてきたわ。人の心を動かすことなんてできないんじゃないか、って…。でも私の中にも芽生えた彼女の誠意に、大いに助けられた。それにたとえ自分が一番相応しくなくても、心に迷いなくやってみたいのなら運命の巡り合わせだと感じたの。努めてそう思い返したわ。
マリアンヌは妊娠5ヵ月の時に夫を殺されましたが、ジョリーさんも出産の経験があるので、あの時期の妊婦にとってそれがどれだけつらいことだったかよく理解できたのではないですか?
ええ、妊娠したことは今回とても役立ったと思う。現実問題として、もし妊娠の経験がなかったら、すごく大袈裟に演じてしまったり、妊婦がとらないような行動をとってしまうと思うの。妊婦である彼女がどうやってあの状況を切り抜けたかを思うと、それは想像を絶したわ。

身重であるのは大変なことで、後半の数ヶ月はストレスを減らし、睡眠もたくさんとらないといけないのに…。でもマリアンヌは自分を哀れんだりしなかった。ダニエルが二度と家に戻らないかもしれないなんて考えを、自分自身に許さなかったに違いないわ。お腹にいる子供への責任も自覚し、きちんと食べて体調を管理しながら、更にダニエルの捜索にあたったなんて…。

その頃、私はシャイロを出産したばかりで特別な時期だったし、ブラッドとも特別な時期を過ごしていたから、役作りの過程でとても感情移入してしまったの。赤ちゃんが産まれて、その子を眺めながら、部屋の向こうにはその子の父親がいて…そんな状況を誰かに取り上げられるとしたら、私だったら発狂してしまうと思う。
 
パキスタンやインドでの撮影はどうでしたか?
ああいう場所は大好きなの。大きくて綺麗なモーターホームや、ハリウッドのスタジオよりずっといいわ。現場にいるのが嬉しかった。皆、マイケル(・ウィンターボトム監督)のやり方が好きだったわ。作品に真実味が増すだろうと確信できたから。そういうのってとても大切よね。個別のモーターホームも、食事が別に用意されることもなく、いつもあの家でみんな一緒だった。そのおかげで強い結びつきが生まれたし、その雰囲気は映画にも表れていると思う。
『マイティ・ハート/愛と絆』アンジェリーナ・ジョリー インタビュー
(C) 2006 Paramount Vantage. All Rights Reserved.
マリアンヌがダニーの死の報せを受ける場面は一見に値しますが、どのようなことを考えて演じたのですか?
あの夜は特別な夜だった。数年前、実際にダニーのニュースが流れた日のことが蘇ってきたわ。カメラに写っていない出演者たちも、目に涙を浮かべていた。演じるのではなく、人はこんなふうに振舞うだろうとか、マリアンヌはこう感じたはずだとか、将来アダム(二人の子供)はどう思うだろうとか考えていたの。皆が心を痛めた感慨深い夜だったわ。
国連の仕事はまだしていらっしゃるんですよね。
ええ。難民関連の仕事はいつでもしているわ。彼らってとても素晴らしいの。彼らと一緒に過ごす時間は格別よ。だからこれからも続けていくつもり。でも、今はそれ以上に関わっていることがあって、裁判のことを集中的にやっているの。国際刑事裁判所の専門員になったのよ。
国連の仕事をしてみて、以前よりも楽観的でなくなりましたか?それとも、以前よりも希望を持っていますか?
私がこの仕事を始めて以降、世界はますます手に負えない状況になってきたと思う。私の母国は間違いなく戦争中だしね。適切に事態の解決が促されないようなこともいっぱい見てきて、思うところが多くあるわ。

たとえばカンボジア。私たちはカンボジアでミレニアムビレッジ・プロジェクトを立ち上げ、環境保護に取り組んでいるの。色々な国から参画者がいるんだけど、とある国から参加した一人は、ダムを建設して、それを腐敗した政府関係者とかに売ろうとしたのよ。また別な人は宝石を掘ろうとしたり、そうやって商売しようとする人間がいっぱいいるの。腐敗した世界があることは確かで、だから統制が保たれなければならないと思う。そうね、幻滅したとは言わないけど、とても難しいなと思うわ。
最後に、この作品がもつメッセージについて、お聞かせください。
いくつかあると思うんだけど、マリアンヌという人物の他に私を惹きつけたことのひとつに、色々な宗教や生い立ちが混在していたというのがあるわ。今の世の中は人を簡単に判断しすぎるし、恐れを抱きすぎる。この作品では、状況が状況だけに、ヒンズー教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒、仏教徒、イスラム教徒が、信仰も背景も違う人々が、ひとつの家の中でそれぞれの考え方や誠意からお互いに助け合い、最後にはひとつになるの。その友情はすごく堅いものよ。

パキスタン人でイスラム教のキャプテンは、今でもマリアンヌやアダムととても親しいの。一方でアダムの父親を奪い、違ったかたちで自分の信仰を表明してみせた人間もキャプテンと同じ信仰を持ち、同じ背景を持っているわけ。キャプテンは生涯をかけてマリアンヌとアダムを守り、ふたりのために出来る限りのことをしようとしているわ。
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