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| ちょっとでも合わせるとおもしろくないと思ったので、「一切打ち合わせしないぞ」って突っぱねましたね
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| 『Helpless』で鮮烈なデビューを飾り、『EUREKA ユリイカ』では第53回カンヌ国際映画祭において国際批評家連盟賞とエキュメニック賞をダブル受賞し、国内外での評価を不動のものとした青山真治監督が、『Helpless』から11年、『EUREKA ユリイカ』から7年の時を経て描き出した“北九州サーガ”の集大成的作品『サッド ヴァケイション』。三作全てに出演し、重要な役どころを担っている光石研さんに、この三部作に対する思い、撮影秘話などをたっぷり伺った。
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[光石研] 1961年福岡県生まれ。78年、曽根中生監督『博多っ子純情』でデビュー後、日本を代表する名監督たちの作品に数々出演し、今や日本映画界においてなくてはならない個性派俳優。主な出演作に、『ハッシュ!』(橋口亮輔監督)、『パッチギ!』(井筒和幸監督)、『紀子の食卓』(園子音監督)、『それでもボクはやってない』(周防正行監督)、『インビジブル・ウェーブ』(ペンエーグ・ラッタナルアーン監督)などがある。 |
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『サッド ヴァケイション』
配給:スタイルジャム
9月8日(土)シネマライズ他にて待望のロードショー
オフィシャルサイト |
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| 最近は年に10本以上出ていらっしゃることもあり、あちこちから引く手あまたの光石さんですが、出演を受ける決め手は何なのでしょうか?
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| 本当にありがたいことで、ここのところ邦画がけっこう盛んで多く撮られているというのも、たくさん声をかけていただいている一因だと思いますが、出演作を選ぶ際に一番大事なのは、まずスケジュールが空いていることですね(笑)。体調が万全で、スケジュールが空いてさえいれば、なるべく出させて頂いています。同じような役はなるべく続かないようにとは思っているんですけど、根が貧乏性なもので(笑)、なんだかんだ言いながら空いていると、あ、おもしろそうですね、って結局出てしまうんですよ。
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| 斉藤陽一郎さん演じる秋彦との絡みが多いですが、特に最初に出てくる部屋のシーンなんてもう思わず吹き出してしまったんですけど、あれはお二人のアドリブだったんですか?
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いや、しっかり台本がありました。二人の会話が5〜6ページくらい続いているんですけど、その最初か最後に、「アドリブでお願いします」って監督の言葉が書いてあったんです(笑)。でもそこはもう、約10年青山監督のチームでやらせてもらっている者の勘というか、監督がどうしてほしいかというのをさっと感じ取りましたね。
Q:斉藤さんとは、撮影前に打ち合わせなどしたんですか?
一切しませんでした。斉藤くんからはインの前に、「ちょっとあそこのシーンで相談があるんですけど…」って言われたんですけど、俺は「イヤだ」と(笑)。ちょっとでも合わせるとおもしろくないと思ったので、「一切打ち合わせしないぞ」って突っぱねて。「でも気合入れて行くから」って(笑)。
だからあのシーンは、撮影の日までどうなるのか分からなかったです。その日もぎりぎりまで探っていました。でも恐らくテストなしの一発本番でくるだろうな、って予感はしていましたね。まあ、一回くらいテストしてくれるんじゃないか…という淡い期待が全くなかったと言えばウソになりますが(笑)、でも現場に入って、完璧に用意されているセッティングとか、スタッフの空気とか、僕に対する目の配り具合をみてすぐ、こりゃ確実にテストなしだ…って悟りました(笑)。まあ何度も言いますが、約10年みんなとやってきたわけですから、察知してしまったわけです(笑)。
なのでとりあえず、例えば衣装係や小道具さんに、クローゼットの中でもどの服なら着てOKかとか、途中暴れたくなった時に壊しちゃいけないものはあるかとか、チェックしてまわりました。そういうことを予め知っておかないと、スタッフにも迷惑をかけてしまいますから。冷蔵庫があるけど、開けていいのかとかね。明かりが仕込んでない冷蔵庫を開けちゃったら、暗くて不自然でしょう。まあ結局みんな、完璧に用意してくれていたんですけど。とにかくあの時は、五感を研ぎ澄まして臨みましたよ。他のシーンの時は割とのほほんとしているんですけどね(笑)。
あのシーンは僕の中では、スタッフがすごい大笑いして喜んでくれたことが正直一番嬉しかったです。きっと皆、期待していたと思うんですよ。光石がどこを開けようが何をいじろうが、完璧に準備してくれていましたからね。あのシーン自体は本筋にはあまり関係ないんで(笑)、切られてもいいやと、スタッフがあれだけ喜んでくれたからもうそれで充分だと思っていたんですが、あんなに長く残っているとは自分でも思いませんでした(笑)。 |
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| 長いお付き合いとなる青山真治監督とは、同じ福岡県出身で、年令も近いですが、地元からのお知り合いというわけではなかったのですか?
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いや、地元では存じ上げなかったですね。『Helpless』のときに東京で初めてお会いしました。
Q:青山監督の現場はどんな感じなのですか?
居心地の良いところですね。カメラのこちら側と向こう側には明らかに一線が引いてあるんです。そして彼らからは、「さあ、俺たちはパーフェクトな場を用意したぞ」というプロの自負がひしひしと感じられる。それを役者の僕たちが受けて立つ、そういう緊張感がある。それがまた居心地よくしてくれるんです。決して、なあなあにはならない良さというか。まあお酒を飲むとまた全然違うんですけどね(笑)。 |
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| 光石さんにとって、主演の浅野忠信さんも今まで共演が多い俳優さんですが、光石さんから見た浅野さん像をお聞かせください。
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| 例えば『Helpless』からの約10年を比べたときに、僕ら35〜45歳の10年間は、もう本当に、色んなことを維持するので精一杯(笑)。歩幅を進めるなんてとんでもなくて、向かい風に負けて後退しないよう、今の場所を維持することだけで必死なんです。でもその同じ時間に、確実に歩幅を進めてきた人がいる。それが浅野さんですね。本人がもっている元々の骨太さに、うまく血や肉をつけて確実に成長していらっしゃるなぁと思いますよ。
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| この作品は、『Helpless』『EUREKA ユリイカ』から続く“北九州サーガ”の集大成とも紹介されていますが、全てに出演された光石さんは、この三つの作品をどのように捉えていらっしゃいますか?
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| (しばらく考えた後)自分が生まれ育った土地で仕事ができるという喜びは、まずなによりも大きかったです。舞台となる土地、ことば、空気を知っていて、その上でやれるという強みと喜びは絶対にありました。あと、ちょうど大体5年、10年という間隔で三つの作品を撮っていて、まあ僕の役は微妙につながってないんですが、“光石研”という背骨は一緒ですから、それがいいスパンでできたことはとても幸せなことだと感じています。役者として、なかなか経験できることではないですから。それと、そこにつながっている人たちと再会し、例えば宮崎あおいちゃんもそうですけど、彼らの成長を目の当たりにしながら、まだそこに自分もどうにかしがみついてこれたという喜び。また5年後も呼んで頂けるようにね(笑)、がんばらなきゃいけないなと思います。
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| 素朴な疑問なんですが、ご自分が出演した作品を、客観的に観られるものなんですか?
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観られないですね。
Q:じゃあ「この作品で一番好きなシーンはどこですか?」という質問はきびしいでしょうか…?
あ、他の人のシーンは全然観れます(笑)。この作品ではやっぱり、浅野さんとオダギリさんの平尾台でのシーン。あそこは良かったですねぇ。ロケ場所も良かったけど、なんか凄い風が吹いていたでしょう。二人が話しているセリフの内容とリンクするように、風がぶぁーって舞って、なんかすごい良いシーンだと思いましたね。二人ともさすがですよ。 |
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| それでは最後に、これからこの映画をご覧になる皆様に一言お願いします。
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| 青山監督の作品は難しいというイメージがあるかもしれませんが、今回は『Helpless』のときにもっていた尖がりや、『EUREKA ユリイカ』で見せた世界観など、監督のこれまでの要素がバランスよく入り、観やすい映画になっていると思います。それでいて、ものすごく深度のある作品に仕上がっています。若い人からお年寄りまで、幅広い層の方に、一人でも多く観て頂きたいですね。
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今後の予定と最新情報を伺うと、「僕の最新情報って何かなあ…」と素で呟かれたのには思わず笑ってしまいました。そんな飾り気のない光石さんの“最新情報”は、本作品公開の後に『めがね』(荻上直子監督)が待機中。また、来年公開の作品としては、伊坂幸太郎原作、金城武主演の『死神の精度』、JALの女子バスケットチームの映画、子供たちの高飛び込みの映画などが控えているそうです。相変わらずお忙しそうですが、これからも色んな顔をスクリーンで見せてください!
(取材・文・写真:星野ロカ)
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