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| アトム・エゴヤン、フランシス・フォード・コッポラ、デヴィッド・クローネンバーグ、Moby、マイケル・スタイプ、そしてオノヨーコといった錚々たる人たちが、ジョンがどういう作品を作ろうとしているかを理解し、支援してくれたの
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| 『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のジョン・キャメロン・ミッチェル監督が、アイデンティティを、人とのつながりを、そして愛を求めて彷徨う7人の男女を描いた最新作『ショートバス』。この作品で、まさしく“体当たり”演技をみせた主演の一人、リー・スックインが初来日し、撮影秘話や監督の素顔などをオープンに語ってくれた。 |
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[リー・スックイン] カナダ生まれ。カナダの放送局のためにテレビとラジオの番組を作り、現在もカナダのラジオ局で番組の司会をしている。本作では「Beautiful」という曲を自ら作詞・作曲・演奏し、音楽的才能も発揮。ジョン・キャメロン・ミッチェル監督の前作『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(01年)では、韓国人ロックバンドのメンバーとして、共演も果たしている。
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『ショートバス』
配給:アスミック・エース
8月25日(土)よりシネマライズほか全国順次ロードショー
オフィシャルサイト |
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| 『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』に出演した時、ジョン(・キャメロン・ミッチェル監督)と初めて一緒に仕事をしました。彼は、人の役に立つような作品を作りたいと普段から言っているんだけど、実際、自分の作品に対する社会的意識が非常に高いの。それと同時に、お茶目さというか、娯楽性も忘れないところに共感したわ。彼のもつ感覚ももちろん大好きだけど、現場での仕事ぶりや、一緒に作る人たちに対する責任感とリスペクト、俳優としての力量、彼自身の人間としてのすばらしさに、この人は特別な映画作家だと思ったので、次にまた何か撮る時は絶対に声をかけてね、って頼んでいたの。で、今回オーディションに誘われたわけ。 |
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| そのオーディションの最初の課題は、“自分の感情に最も大きな影響を与えた性体験をテープにして送ること”だったそうですが、スックインさんが送ったテープの内容を伺ってもいいですか?
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もちろんよ!
私は中国系カナダ人1世で、カナダ郊外で育ったんだけど、自分のことを中国人ともカナダ人とも感じることができなかったの。そのせいか、自分に対しても他人に対しても、うまく距離がはかれないティーンエイジャーだったわ。だからテレビや雑誌に出てくる恋愛やセックス、デートしている友達なんかも、自分とは関係ない別世界の人たちの出来事のように感じていたの。
そんな十代の私が経験した、数少ない、しかもサイアクな性体験をテープで送ったわけ(笑)。あと、当時イケなかったことも語ったわ。ジョンはそれをみて、「女性がイクのが難しいなんて思ってもみなかった」って興味をもってくれたの。そして設定を、ティーンじゃなく、大人の女性に変えたらもっとおもしろいんじゃないか。しかも彼女は結婚していて、カップルセラピストで、周囲の人は彼女がオルガズムを経験していないなんて思ってもいない。だから彼女も誰にも言えなくて、夫にも嘘をつき続けてきたんだけれど、さすがの彼も怪しく思い始めている。実は今までイッたことがなかったなんてバレたら、結婚生活も気まずくなるだろうし、セラピーに来る患者さんたちからも信用されなくなるだろう…。そんな人生の岐路に立たされた大人の女性にしよう、ってね。そうしてできたのが、私が演じたソフィアよ。 |
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| 一つの映画を作りあげるのに、2年間もワークショップに費やすというのはなかなかないことですが、その間、最も苦労したことはなんでしたか? |
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一番大変だったのは、CBC局(カナダの公共放送局)の仕事との両立だったわ。作品の内容をボスにうまく伝え、理解を得るのがとても難しかったの。セックスというだけで、「絶対だめ!」ってそれ以上話も聞いてくれない勢いだったから。CBCは公の放送局だし、社員がセックスを赤裸々に扱った映画に出たら、一般の視聴者からなんて言われるか分からないって怯えていた部分もあったと思うけど、とにかく会社のボスたちに理解してもらい、なおかつ長期間、仕事と映画のバランスをとることが大変だった。
ただラッキーだったのは、アメリカやカナダの名だたるアーティスト達からサポートのコメントを寄せてもらえたことね。アトム・エゴヤン、フランシス・フォード・コッポラ、デヴィッド・クローネンバーグ、Moby、マイケル・スタイプ、そしてオノヨーコといった錚々たる人たちが、ジョンがどういう作品を作ろうとしているかを理解し、支援してくれたの。その手紙をボスに見せ、ようやく許可をもらえたわ。
そうして結果的には、まったく束縛なく自由にやらせてもらえた。できあがった作品の評価も国内外でとても高くて本当に良かったわ。ボスたちが最初いい顔をしなかったのも、彼らの中に性的なものに対する恐怖心があったからだと思う。彼らも今回のことでその恐怖心と対峙し、恐れる必要はないんだということにちょっとは気がついたんじゃないかな。 |
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| 最初の10分間のモンタージュは、ジョンとしてはタブー的なものをここで一度ばっと見せちゃえ、っていう意図があったみたいなんだけど、その中の、ポール・ドーソン演じるジェイムズのシーンね。ネタバレになるから詳しく言えないけど、肉体的にもの凄いことをしながら、その瞬間、泣き始めるの。本当に驚いたわ!俳優としてあそこまでフォーカスしながら自分のモロさをさらけ出せるなんて、一体どうやったらできるの!?って思った。映像の瞬間としても、もの凄くパワフルだしね。人が快楽を求める葛藤と、それに伴って生じる別の種類の葛藤、その全てを凝縮し、表現しているシーンだと思うわ。
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| それでは最後に、この作品をご覧になる皆さんに、メッセージをお願いします。 |
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| この作品と共に世界中を廻ったけれど、どこの国の人にも共通して感じたのは、皆、他者はもちろん、自分自身とすらきちんとつながっていないということ。性的なことに恐怖心を抱いているのもそうだし、とにかく人とつながりたいんだけど、どうしたらいいか分からず、模索していると思ったわ。それをテーマにしたこの作品に、少しでも共感してもらえたらと思う。そして、愛を求めて迷い、傷ついているのはあなただけじゃないということを知ってほしいの。人は誰しも相手とつながりたい、分かり合いたいと思っているものよ。この映画を観て、自分は決して一人ぼっちじゃないんだと感じてくれたら、そして少しでもほっとしてもらえたら嬉しいな。
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「Hi!」と目の前に現われたスックインは、映画のときよりも髪を短くしていたせいか、思っていたよりずっと幼く少女のようでびっくり!この作品に対する誇り、ジョンに寄せる絶対の信頼、共演者への愛情が、彼女のことばの端々から滲み出ていて、自分をさらけ出した2年間は相当きつかったろうけれど、同時にきっととても人間的であたたかい現場だったんだろうなぁと思いました。
とにかく観終わったあとに絶対心があったかくなっていること請け合いの『ショートバス』!おすすめです!!
(取材・文・写真:星野ロカ)
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