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インタビュー
『TANNKA 短歌』阿木燿子監督 単独インタビュー
『TANNKA 短歌』阿木燿子監督 単独インタビュー
この作品を観てくださる方がちょっぴりセクシーな気持ちになったり、“恋をしたい”と思ってくださったら嬉しいです
女流歌人・俵万智の処女小説『トリアングル』を原作に、二人の男性の間で揺れる30代女性のしなやかな官能美を描いた『TANNKA 短歌』。昨年11月に劇場公開された本作のDVDが、いよいよ5月21日(月)に発売! これを記念して、本作で初めて映画監督に挑戦した作詞家・阿木燿子さんにお話を伺った。
profile
[阿木燿子監督]
神奈川県出身。夫・宇崎竜童率いるダウン・タウン・ブギウギ・バンドの『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』(75)で作詞家デビュー。以来、山口百恵、中森明菜、都はるみらに詞を提供。数多くのヒット作を出している。ジュディ・オングの『魅せられて』で日本レコード大賞受賞。近年では宇崎竜童の音楽に作詞したロック版『曽根崎心中』を元に、全編日本語の歌詞を用いた『FLAMENCO 曽根崎心中』の上演を企画・プロデュース。俵万智原作の『トリアングル』をもとにした本作『TANNKA 短歌』で初の映画監督に挑戦。
『TANNKA 短歌』
2007年5月21日(月)発売
発売元:東映ビデオ
オフィシャルサイト
初監督作品となった『TANNKA 短歌』がいよいよDVDとなって発売されますが、どんなお気持ちですか?
映画が公開されるときは、劇場で観客からどんな反応があるのか気になりましたけど、今回のDVD化でもっと広い層の方に観ていただけると思うので、また違った喜びとときめきを感じています。

Q:これまで寄せられた中で嬉しかった感想にはどういったものがありましたか?

嬉しかったのは、作品を観た女性たちから「ヒロインの薫里さんの生き方に共感できる」と言われたことですね。この作品はベッドシーンも多いんですけど、女性が観て生理的に嫌でないことや、映像が綺麗であることには特に気をつけました。観てくださった方が、薫里さんの生き方にどこか自分を重ね合わせてくださるといいなと思っていましたので、そう言っていただけたのは嬉しかったですね。
ヒロインの薫里をどんな女性として描こうと思われましたか?
私が薫里さんに対して抱いているイメージは、キャリアウーマンということがまず初めにありました。男性と互角に仕事をしながら、真剣に恋をして、また違う出会いもあって、自立を本当に望んでいて……という、現代に生きる一人の女性として描きたかったんです。現代には大勢の“薫里”がいると思うんですね。朝の通勤電車には本当に薫里さんが大勢乗っているだろうなと。この作品は、30代という女ざかりの女性の一つのモニュメントというか、もちろんフィクションですけど、ある種ドキュメンタリーのようにも撮りたかったです。
その薫里役を演じた黒谷友香さんの印象をお聞かせください。
30代の初めというのは女性が一番輝いている時期でもありますが、黒谷さんは本当に綺麗で、大画面のアップに耐えられるというか、神々しいまでに美しかったですね。

Q:現場ではいかがでしたか?

黒谷さんは役を理論的に捉えるよりは、どちらかというと感覚的な女優さんなので、その都度、イメージ的に各シーンについて説明しました。監督をしていると全体像を見ることを重視し、個々のキャラクターについて細かいところを見落としがちなのですが、黒谷さんの方からいろいろ意見も出してくださったので、現場で臨機応変に変えました。コミュニケーションはとてもうまくとれましたし、黒谷さんが私に任せてくださったので、とてもやりやすかったです。
『TANNKA 短歌』阿木燿子監督 単独インタビュー
薫里は妻子ある年上の男性と年下の男の子との二つの愛の間で揺れるわけですが、阿木さんご自身はこの恋愛をどう思われますか?
私たちの若い頃は“二股愛”とか“略奪愛”というのは道徳の範疇でいうとあまり許されるものではありませんでしたけど、今は時代も変わり、善悪で断罪すべきものでもないですし。それに、一人の人とずっと一緒に生きていくことが、幸せなのか不幸せなのかもわかりませんしね。 薫里さんの生き方に対しては、ただ切ないなという思いはあります。そもそも、恋をするということ自体が、ほろ苦く、切ないことですよね。女でいること自体が、まあ、男でいることもそうだと思いますけれど、「生きてるって案外、切ないな」と、そんな感じがしています。
ベッドシーンの撮影ではどういったことに気をつけましたか
基本的には綺麗に撮りたいなって。その意向はスタッフ全員一緒でした。黒谷さんのボーイッシュな部分というか、女性が見て嫌らしくない清潔感、スレンダーな身体が発散するさらりとしたエロスを全面に押し出しながら撮影をしてゆきました。 逆にベッドシーンの方が緊張せずに、はじけて撮れた感じはあります。もちろん、黒谷さんは女性なので始まる前は多少は心配しましたけど、実際はそんなことはなくて。ベッドシーンが終わるたびに女性スタッフが囲いをするんですけど、その中からいつも笑い声が漏れていたので、「ああ、大丈夫だな」と安心していました。
本作は美しいベリーダンスも見どころだと思いますが、原作にはダンスの要素がありませんよね。
ダンスの要素を入れて欲しいというのは東映側の要望だったんです。そもそも、このお話をいただいたのは、私がプロデュースしている『FLAMENCO 曽根崎心中』という舞台を東映の方がご覧になったことがきっかけだったんです。原作を何度か読みましたが、どこにダンスの要素を入れるかは悩んだところでした。結局、主人公がダンスに興味があるという設定にしたんですけどね。

Q:ベリーダンスの魅力とは?

私自身もフラメンコを11年、ベリーダンスを7、8年習いましたが、フラメンコはどちらかというと内にこもる哲学的な要素があり、それに比べると、ベリーダンスはすごく開放的な踊りなんです。“女性が女性でいることの喜び”を表現する感じでしょうか。上手い下手は別にして、踊っていてとても心地いいんですね。でも、見た目よりも難しくて、なかなか思い通りにはいかないんですけどね。
今後も監督業に挑戦したいと思われますか?
そうですね。皆さんがおっしゃるように、この仕事には不思議な魅力というか魔力があって。つらくて大変なこともありますけど、それはある意味“生みの苦しみ”のようなもので、生み落としたあとは、第二子を望みたくなるものなのかもしれませんね。今回のようにDVD化されると、その子供が一人歩きしてくれる感じで。そういう経験をまたしてみたいなと、もう少し時間が経ったら思いそうです。
様々なことを手がけていらっしゃいますが、今後の夢をお聞かせください。
ほとんどの仕事が何かを表現する仕事なので、今携わっている仕事を広め、そして深めていくことをまずは大事にしてゆきたいですね。今回のお仕事をいただくきっかけとなった『FLAMENCO 曽根崎心中』を世界に広めたいという具体的な夢はありますけれど、書く仕事も、プロデュースの仕事も大切にし、いつかそれらの点が線になって面積を持つといいなと思います。そのためには、もっともっと作品を生まなきゃと考えています。
阿木さんがお仕事で一番大切にされていることは何ですか?
“出し切る”ということでしょうか。ひとつずつの仕事に骨惜しみをしない、エネルギーをケチらないことですね。エネルギーを出し切ると、次にまた入ってくるんですよ。私自身、手抜きするのは嫌いだし、その都度、完全燃焼したいなって……。愛情でもエネルギーでも、生きている瞬間を味わい尽くすというか、その都度、人生の醍醐味を味わい尽くしたいと思っています。

Q:ラテン系ですね。

そうですね。結構、ラテン系ですよ。あまり深刻にならず、“明日は明日の風が吹く”っていうところはありますね(笑)。
それでは、これから『TANNKA 短歌』のDVDを手に取る方にメッセージをお願いします。
絶対に飽きさせない自信がありますので、やっぱり女性の官能美をあまさず堪能していただきたいですね。この作品を観てくださる方がちょっぴりセクシーな気持ちになったり、“恋をしたい”と思ってくださったら嬉しいです。人生には、死ぬまで恋は必要ですからね。若い方から年配の方まで、そして男女問わず幅広い層の方に、主人公の生き方や男性の優しさを観ていただきたいですね。
編集部の呟き
どの質問にも、独特のゆっくりとした語り口で答えてくださった阿木さん。噂に違わずとても美しい方で、チャーミングな微笑みが印象的でした。多忙な日々の中で美容と若々しさを保つ秘訣を伺ってみたところ、「昨夜の私をご覧になったら驚くと思いますよ。よれよれで別人みたいでしたから」とニッコリ。それでも“結構な健康オタク”だそうで、1時間でも時間ができると泳ぎに行かれるとか。こんなに素敵な監督なら、撮影現場も明るかっただろうなと想像しながら帰ったのでした。
(取材・文・写真:山内真理子)
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