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| 派手なテニスのCGを使ったケレン味と、若い俳優たちの持つフレッシュさを寄せ集めてみたらどんな作品になるのかなというのが、今回の挑戦でした。 |
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| 超人気スポーツ・マンガ“テニプリ”こと『テニスの王子様』の実写版が、ついにお目見え! 原作をベースにオリジナル要素とCGをふんだんに盛り込み、若手俳優たちのフレッシュな魅力を存分に引き出してみせたアベ ユーイチ監督が、完成披露試写会の合間を縫って、インタビューに答えてくれた。 |
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[アベ ユーイチ監督]
1964年2月6日生まれ。助監督として『お引越し』(93/相米慎二監督)や『月とキャベツ』(96/篠原哲雄監督)などに携わる。『ウルトラマンゼアス2超人大戦・光と影』(97/小中和哉監督)のVFXコーディネーターを務め、監督としてフルCGアニメーション『SDガンダムフォース』、TV『ウルトラマンネクサス』(04/CBC)や富士急ハイランド「ガンダム・ザ・ライド」プレショーを手がける。VFXの名手とうたわれる一方で、ショートフィルム『Jam Film S』の「すべり台」で瑞々しい感性を披露し、その演出手腕が高く評価されている。 |
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『テニスの王子様』
配給:松竹
5月13(土)よりロードショー
オフィシャルサイト:http://www.palomine.jp/ |
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まだ観ている方たちの反応がはっきりと見えていないので、どうなのかなと気になっているところです。原作のファンも原作を知らない人もいるでしょうし、大人であったり子供であったり、幅広い年代の方たちに観ていただきたいとは思っています。今日来てくださっているのは、コアなファンが多い気がしますね。
Q.今日はD-BOYSのファンの方たちも多いでしょうね。
そうですね。出演者たちのファン、マンガのファン、ミュージカルのファンとか、さまざまだと思います。皆さんそれぞれ、楽しんでいただけたら嬉しいですね。 |
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| 本作の監督を引き受けられた経緯をお聞かせください。
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オムニバス映画『Jam Films S』の「すべり台」という作品を撮った後、『Jam Films S』同様、今回もプロデュースを担当している梅川治男から新作の話が来まして。「『テニスの王子様』っていうんだけど、知ってる?」と聞かれて、その頃はまだ原作を読んでいなかったんですけど、なんとなくは知っていたんですね。僕の知り合いがファンだったんで。人気のある作品だということだけは押さえていたんです。で、原作を読んですぐに「やる、やる!」と返事をしたわけです(笑)。製作をする側の方たちが『すべり台』を気に入ってくださって、僕に話が来たようです。
Q.私も、『Jam Films S』の中では「すべり台」が一番好きでしたね。
そうですか、ありがとうございます。「すべり台」は短かったので、かえっていろいろなことができた実験作でしたね。今回も、映画の構成としては普通じゃないんです。後半になって盛り上がることは盛り上がるんですけど、前半と後半がそれぞれ半分くらいあり、つまり後半の関東大会のシーンが半分もあるんですよ。普通の構成では1時間も試合を見せることはしないので、それをどう見せきるか、挑戦でしたね。正直、“これは肩の荷が重いな〜”とも思いましたが、なんとか乗り切りました。 |
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面白かったですよ。30数巻、一日で読んでしまったくらい。結構ハマりましたね。ただ、面白かったんだけど、1本の映画にするにはどうするんだっていうのが、あとからドカーン!と来ましたけど(笑)。でも、面白かったので、やりたいなと思いました。
Q.その頃、脚本は?
まだ、なかったんです。
Q.では、脚本家の方もいらっしゃいますけど、監督と話をされながら書き上げたという感じなのですか?
そうですね。こんな方向で行こうということは、最初になんとなく話して、プロットをあげてもらい、それから仕上げてもらいました。で、何回かの直しがあって、後半は自分でも直しながらやりました。現場のこととかいろいろありますから、それを反映させつつ手を入れていったんです。どの部分を描くのかというのは、本当に難しかったですね。最初は90分くらいと言われていたんですけど、結局1時間50分になってしまいました。短くしすぎても何もなくなってしまいますし、長くしすぎてもさまざまな問題が生じてきますから、やっぱりどこかにポイントを置く必要が出てきましたね。原作ですと、みんなが主人公じゃないですか。でも今回は、越前リョーマを主軸にして、脇の人たちのことはあまり描かないようにしました。その辺の割り切りが、この映画を作るうえで一番難しいところでしたね。 |
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| 先ほどの舞台挨拶で、「撮りながら進化していった」とおっしゃっていましたよね。
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ええ、話がどんどん広がっていって、完成の形が想像つかないところもあったんですよ。実は、今回のものより20分ほど長く、余計に撮ってあるんです。つまり、脇のキャラの話も微妙に押さえてあるんですが、今回完成した映画からは省いてあるんですよ。
Q.では、DVDになった時には見られるのでしょうか。
どうでしょう、それは(笑)。使われていないシーンとしてでも入れられるといいですね。
Q.これは次もあるぞ、といった終わり方でしたね。
ああ、そうですね。これは1本で終わる話じゃないんですよね。越前リョーマの話は今回でなんとなくケリはついていると思うんですけど、ただ、『テニスの王子様』としては、まだまだいっぱい描くことがあるので。普通、映画は1本の中で話が完結するものじゃないですか。でも今回は、1本の映画だけでははまりきらないコンテンツではないかという発想があって、自分の中でもいろいろと変化しながら撮っていったということはありますね。
Q.それぞれのキャラも立っていますね。
そう。ただ、マンガもアニメもミュージカルもあり、観ている人が知っているという前提の基にある映画だということは意識しましたね。まったくゼロから作った映画だったら、もっと脇の人もきちんと描かなければいけませんけど、そうすると超大作になっちゃうんで(笑)。
Q.では、基本的には原作を知っている方たちを想定して作られたんですね。
まずは、知っている方たちに楽しんでもらえれば、というのが大前提でした。その上で、その方たちが周囲の人たちに薦めてくださって、『テニスの王子様』のファン層が広がっていくというのを目指しましたね。
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ええ、この作品に関わった去年から3回くらいは観ましたね。
Q.私は残念ながら観ていませんので、どういう感じなのか想像がつかないんですよね。
ミュージカルは基本的に歌と踊りなので、お祭りを見ているような感じですよ。そして割と、笑いがメインでしたね。試合のシーンももちろんあります。歌って踊りながら、テニスボールを音とライトで表現していましたね。原作に忠実でしたけど、ミュージカルではなんと、氷帝学園戦だけで3時間あるんですよ(笑)。なのに映画は、頭から氷帝戦まで2時間弱なんですから、これは……何度も言いますけど、ツラいですよ。
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| 今回はキャラクターや設定を新たにしたりしていますが、監督のアイデアだったのですか? |
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そうですね。やっぱり、1本の映画に収めるときにはどうするか、というところですよね。原作のエピソードだけを取り出して画にするという方法ももちろん、あったわけです。でも、原作が素晴らしいからといって、そのままやっても映画としてはダメなわけですよ。つまり、マンガやアニメとは演出方法が違うんです。マンガは止めのコマの連続ですし、アニメーションは動くけどデフォルメされたキャラクターじゃないですか。それを生身の人間がやるとなると、何かが足りなくなるんです。フルタイムで動くわけですから、ほんのちょっとした仕草にしろ言い方にしろ、マンガやアニメで描かれているものを踏襲した上で、何かを足さなければいけないんです。それを足した上で、さらに考えるのは、実際に演じる人たちの魅力もできるだけ引き出すということです。キャラクターとして完結しているので、強引に原作の中にはめるという手もあるんですけど、どうしても無理があるんですね。例えば、今回のキャスティングでいえば、乾貞治なんてもっと背が高いはずじゃないですか。でも、そこに無理やりはめ込むのではなくて、実際の人間が持っているオーラの色とか個性とか得意な要素を掬い上げて画面に定着させたいなと思い、なおかつ原作の面白い部分をうまくミックスさせようと努めました。
Q.テニス部員たちは全く違和感がなかったですよ。
そうですか。じゃあ、よかったです。よく見ると、微妙に違うところがたくさんありますけどね。
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| ハリウッドチャンネルでコラムを書いてくださっている城田優さんは、ミュージカルと同じ手塚国光役ですが、結構ダメ出しを出されたということですね。それはやはり、ミュージカルのときの演技が残っていたからですか?
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全員、ミュージカルの演技が残っていましたね。でも今回は、普通に日常生活をしている生身の人間のリアルな演技を作りたかったので、そういうところは口を酸っぱくして言いました。
Q.どうしても、ミュージカル的に演技が大きくなるという感じだったのですか?
大きくなったり小さくなったりというか、割とまとまってしまっていたんですよ。舞台的な演技に固まっていたので、なんとかそれを崩したいな、というのがありました。大画面でダーンと撮ったりするときに、ミュージカル的な演技の部分はかえって見えなくなってしまうものなんですよね。だから、城田くんにもずいぶんダメ出しはしました。彼は若いんですけど、結構オッサンくさいところもあって(笑)、できるだけ若く魅力的に見えるように撮りました。テニスもうまく見えるように、ね(笑)。
Q.うまく見えましたよ!
見えた? じゃあ、正解だったな(笑)。
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彼は天才ですよ。すごく若いから、ムラは大きいんですけど。そのムラも幅が広くて、ダメなときはダメだし、いいときはメチャクチャいいんですね。だから、「常にいいところだけを出せ」と言ってるんですけど、そうは簡単にはいかなくて。もちろん、まだ子供の部分もありますしね。それがまた魅力なんですけど。例えば、朝が弱かったり、眠いときにはどうしても眠そうな顔のままだったり、そういうこともありましたけど、輝くときは本当に素晴らしいので、なんとかそれを撮ってやろう!という意気込みでやりました。彼はテニスも、本当にうまいんですよ。舞台挨拶のときに本人も言ってましたけど、プロになっても、おそらく将来は日本で5本の指に入るだろうと太鼓判を押されるくらい才能がありますね。頭がとっても良くて、体もセンス良く動く子で、だいたい両利きであんなに打てるなんて珍しいというか、実際不可能ですよ。
Q.あれはCGとかじゃないんですね(笑)?
じゃないですよ。本当に打ってるんです。
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| 合宿もされたんですよね? 若い子が大勢いる現場は大変でしたか?
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はい、言うことを聞かなかったり、すぐ泣き言言ったり、逃げたり、暴れたりしてましたから(笑)。それをどうすんだって感じで、もう大変でしたね。部活みたいな状態で。
Q.監督は“先生”状態ですか? なだめたりすかしたり。
なだめるよりは怒ってましたね(笑)。とにかく厳しく見ていました。テニスのレッスンはコーチがバッチリやってくれていたので、芝居の部分で、最初の頃は結構厳しいことも言っちゃいました。そうしないと彼らも変われないので。本人たちも、その辺のところはよくわかっていたと思います。
Q.結構自由にさせるような演出をされていたとか?
そう思ってもらって、とりあえずいいかなーって(笑)。
Q.意味深ですね(笑)。
本人たちはたぶん、そう思っています。それでいいんです。だって、基本的には彼らが芝居をするんですから、ただ言われたとおりにやるのは一番つまらないですよ。彼らの中から出てきたものでないと本物ではないはずなので。画面に彼ら自身のものが映ったときこそ輝いていると思います。僕自身も、「こうやって」と言ったとおりにやってもらってもつまらないんだけです。それ以上のものが見たいので。“自由だ”と思ってくれるのはいいんです。導かれていることを、出来るだけ本人たちに気づかれないで、良いものを出してくれるように、スタッフ全員で手を尽くしたという感じです。本当に、物理的なことからメンタルなことまであらゆるケアをしていましたから。……これは内緒ですよ(笑)。彼らも気づくと悔しいと思うし。
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| CGをたくさん使っていましたが、その辺にも監督のこだわりがあったのですか?
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正直なところ、CGなんか使わないでやれたらなと思っていたんで、本当に打ってくれって言ったんですけど、「無理だ」って(笑)。あと、彼らの演技が割と新鮮で、すれてない感じがあるじゃないですか。だから、それプラス、“何か欲しいな、コッテコテな感じ”と思ったんですよ。フレッシュな感じだけじゃ物足りない、『テニスの王子様』は単なる普通の青春映画ではないだろう、と。もうちょっとハッタリの効いたケレン味のある作品にしたいなというのがあって、だから、そういった特撮系を割と派手に、「そこまでやる?」みたいにバカバカしいくらいやってやろうかな、と。それで楽しくなればいいと思いましたし。だから、派手なテニスのCGを使ったケレン味と、彼らの持つフレッシュさを「ヨッ!」と寄せ集めてみたらどんな作品になるのかなというのが、今回の挑戦でした。
Q.CGがちょっと、『少林サッカー』みたいでしたね(笑)。
『少林サッカー』ももちろん、研究しました。あのCGのおバカなノリに、今回は『少林サッカー』にはない生身の若さのパワーというか魅力を足したという感じですね。『少林サッカー』とは違った質の、面白い作品になったのではと思いますよ。
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| これは、嘘の世界なんです。越前リョーマはアメリカの代表合宿を蹴って日本に残るんですから。日本に残ったほうが自分のためになると思うような連中がゴロゴロいる国だという設定なわけで、それは大嘘なわけですよ。ただ、その魅力のある日本の世界というものを描きたかったんです。日本人というか、日本の若い連中はもっともっとイケるんだという、僕の中にあるそういう願いがこの映画にはこもっていて、侍魂みたいなものも劇中ではちょこっと見られますよね。魂の高さとか気高さとか、でも悩みながら進んでいく真っ直ぐさとか真剣さとか、精一杯生きていく姿だとか、そういうのがまだ日本には残っているんだというのを描きたかったんです。魅力ある日本人の生き様、誇りみたいなものがもっと復活してほしいなと、僕は思っているんですよ。それがこの『テニスの王子様』という作品には、原作にしろアニメにしろ、ミュージカルにしろ、全てに入っていると感じたので、それを映画でもちゃんとやれたらな、と思って作りました。
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いくつかあるんですけど、とりあえず目先のものから言うと、テレビの『ウルトラマンメビウス』を何本か撮ることになっています。脚本も書きます。
Q.『ウルトラマン』シリーズはこれまでもやっていらっしゃいますが、ご自身で新たにやってみたいタイプの作品はありますか?
来年、もうちょっと大人の話を撮ってみたいと思いますけど、それ以外では時代劇をやってみたいですね。
Q.企画段階にはあるんですか?
まだ、なんとも言いようがないんですよね。この作品の劇中にも、テレビに映っているSF時代劇アニメみたいなものがあったじゃないですか。あれも僕の企画のひとつなんですよ。実写のほうはまだ、特にはありませんが、やってみたいですね〜。 |
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完成披露試写会当日、会場の外および中は、出演者たちのファンとおぼしき女子の熱気に包まれていた。そんな“熱さ”をひしひしと感じながら、騒がしい会場ロビーで快く、本作への思いと若い俳優たちとの現場について雄弁に語ってくれたアベ ユーイチ監督からも“熱い”ものが伝わってくるような気がした。とりわけ、日本人の“こころ”について熱く語ってくれた監督の実写版時代劇、ぜひ観てみたいものだ。 (取材・文:ウララ)
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