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インタビュー
「美しき野獣」ユ・ジテ インタビュー
ユ・ジテ
この役は自分自身にとって挑戦になると思った。
04年のカンヌ国際映画祭でグランプリに輝いた『オールド・ボーイ』で強烈な印象を残したユ・ジテ。その後も、『南極物語』『女は男の未来だ』と良質な話題作に出演する彼の今年最初の映画が、人気スター、クォン・サンウと共演する『美しき野獣』である。プロモーションのため来日した彼から、映画のこと、自分自身のことについて話を聞いた。
profile
[ユ・ジテ]
1976年生まれ。高校時代にモダン・ダンスに打ち込み、大学時代からモデルの仕事を始める。98年に『バイ・ジュン』でスクリーン・デビューし、99年の『アタック・ザ・ガスステーション』で注目を浴びる。その後、『春の日は過ぎ行く』(01)、『オールド・ボーイ』(04)、『南極物語』(05)と話題作に立て続けに出演、“性格俳優”として高い評価を受ける。また、演技面だけでなく製作面にも興味を持ち、03年に監督した短編映画が釜山アジア短編映画祭で紹介された。
『美しき野獣』
配給:東芝エンタテインメント
2月11日(土)より、日韓同時公開
オフィシャルサイト:http://www.beautiful-beast.com/
いつもは慎重に作品選びをされているとのことですが、今回はシナリオを読んで1日で出演を決めたそうですね。シナリオの中のどんな部分に一番惹かれましたか?
映画を御覧になった方なら分かると思うのですが、まず非常に緻密に構成されたシナリオであるということ、この役は自分自身にとって挑戦になると思ったことです。そして、この映画の完成度の高さと、韓国映画でこういう映画も作れるという広がりも感じることが出来ました。
ユ・ジテ
ユ・ジテ
Q2
この映画には、正義が通用しない世の中や、権利に対する抵抗がよく描かれていましたが、ユ・ジテさんはそのような思いや経験をされたことはありますか?
まずここで明らかにしておきたいのは、この映画に出てくる(ユ・ジテが演じた)オ・ジヌという人物は、確かに強い信念を持ち、確固たるもの、すなわち法律というものを信じていました。でも自分が考えたこのキャラクターの解釈は、その法というものを駆使すること自体が、オ・ジヌが持っている欲望であったと思います。ですから、現代社会の中で、絶対的な権力を持っている敵役のユ・ガンジン(ソン・ビョンホ)という人物を、なんとか法の力を駆使して倒したいという彼の欲望が最後、あのような行動に走らせたと思いますね。
もちろんオ・ジヌと僕自身は少し違うとは言えますが、基本的に現代社会の中でも社会の不条理というものは常に存在するものです。私たちの周りでもふと横を見れば、いろんな不条理を感じさせるような事件が、本当にたくさんあると思います。実際この映画に描かれたものと同じような事件が韓国でも起きていますから、やはり社会の中にはどうしても不条理なものが存在するんでしょうね。
Q3
今回は、体ではなく言葉を使ったアクションを繰り広げる役で、言葉というものがとても重要になってきますが、その中で「築きあげたものはいつか必ず壊れる」という台詞がお気に入りのようですね。そのほかにも気に入った言葉はありますか?
その通りです。正確にいいますと「罪を重ねた分、崩れるものだ」という意味なんですが、この台詞はとても気に入りまして、一時期は携帯電話のメモのところにその言葉を書き込んでいました。
実際にオ・ジヌが台詞を言うところは、彼にとって非常に重要なシーンだったので、僕もとても大切に演じるよう気をつけました。この映画にはとても名台詞が多いと思うのですが、その中でいくつか紹介すると、ラストですべてを失くしてしまった彼が、最後ユ・ガンジンのところに行って、彼の前で「どうだ、すべてをなくした気分は」と言います。あれもとても重要な台詞だと思いますので、うまく演じたいと思いました。で、逆にユ・ガンジンがオ・ジヌに「正義とは勝つことだ」という台詞を言うのですが、それもある意味、とても不条理ですけど、理解できるな、と思えた台詞の一つでした。
Q4
相手役のクォン・サンウさん、ソン・ビョンホさんの印象を教えてください。
サンウさんは、人間的にも演技者としても、非常に正直であるというのが魅力だと思います。また、その正直さから来るのか、瞬間的にその役柄に入り込むということが非常に優れている方ですね。
ソン・ビョンホさんは、舞台ではとても有名でカリスマが非常にある俳優なのですが、ジャンルが違う映画においても、その力を余すことなく発揮できる方です。演じるのではなくて、静かでありながらも確かなカリスマを持ち合わせた人だと思います。
Q5
以前から監督業にも興味がおありのようですが、今後はそちらのほうにも力を入れていきたいですか?
僕は短編映画や中編映画を作りたいという欲求があり、特にインデペンデント映画を作りたいと思っています。以前、自分が監督したある中編映画が海外の映画祭に出品されて、それで結構人々に知られてきましたが、今後も引き続き作っていきたいと思いますね。
ユ・ジテ
 
以前『オールド・ボーイ』の時にチェ・ミンシクさんの年齢が羨ましい、とおっしゃっていて、年を重ねることを非常に楽しみにしているようですが、ご自身が俳優として期待する年齢というのはいくつぐらいでしょうか?
俳優の年を考える時に、やはりとてもステキでカッコいい演技が出来る年代というと、やはり40代ぐらいではないかと思います。もちろん青春スターといわれる年代からはかなり過ぎてしまいますが、俳優としての年輪がある程度感じられ、その分経験も積むことができる、そう考えるとやはり40代がとても魅力のある年代になるのではと思います。
ただ、その40代に年齢を感じさせるようなことを無理にやる必要はないと思いますので、俳優として今自分がどういうことをすべきかを常に考え、自分自身を切磋琢磨していくというのが、非常に大切だと思います。
また、自分の年が何歳であろうとも、その年だからこそできる演技というものは必ずあると思いますので、その時々で与えられた役柄に全力を注ぎ最善を尽くせば、結果がどうであれ、幸福感というものは得られると思います。
Q7
ご自身の性格をどのように見ていますか?
僕自身がユ・ジテという人物を少し離れたところから見ますと、本当にもどかしい人間だな、と感じますね。というのも、常に頭の中で何かを計画してから行動しており、何も考えずに動くということがまずないのです。また、余暇をうまく楽しむことができない不器用さも持っています。常に自分のおしりを叩き、じっとしていることのできない人間です。親しい監督のソン・イルゴンさんから、「君は常に自分自身を痛めつけながら行動し、何かしていないとだめだと思っている。もっと自分自身を慰めたり褒めたりすることも必要だよ」と言われました(笑)。 また、僕は計画的なことが好きなのですが、日本の方たちはとても計画性があるので、見習うところがあると思いますね。
編集部の呟き
いわゆる“青春スター”と呼ばれるような、恋愛ドラマを中心に活躍してきたクォン・サンウと、デビューした時から映画一筋で、最近では製作・監督業にも進出している生粋の映画人ユ・ジテは、奇しくも数え年で同じ30歳。ちょうどこの映画のチャン刑事とオ検事のように、二人が辿ってきた道は異なるが、その両者にとって本作はそれぞれの“挑戦”となった作品であることは間違いないだろう。 同じアジア人とは思えないほど、長身で細身で、しかも異常なくらいの足の長さ(!)を持つユ・ジテ(さすが、元モデル!)。質問に対して間をおかず、スラスラと答える姿から、イメージ通りのスマートな印象を受けたが、一方で、前日の睡眠不足から目の腫れを気にして、照れ臭そうに言い訳をするお茶目な一面も。次回作は、3年振りとなるラブ・ストーリー映画『秋に(原題)』の出演が決定しており、今作とは違った役柄に期待がかかる。
(取材・文:あいあい)
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