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| 今自分は、本当にやりたい方向に進めているんだと思うよ
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| “ゼロ時間”それは殺人が決行される瞬間―。ミステリーの女王、アガサ・クリスティーが生涯のベスト10に選んだ傑作ミステリー『ゼロ時間へ』がついに待望の映画化。避暑地を訪れた若きテニスプレーヤーとその新妻、そして前妻。嫉妬と欲望、そこに叔母の持つ莫大な遺産が絡み、緊張を孕んだ人間関係が或る夜、ついに殺人事件が起こる…。そんなスリル満載のミステリー映画の主役をクールに演じたメルヴィル・プポーさんが来日。自身の役どころから俳優人生について、様々なことを伺った。
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[メルヴィル・プポー] 1973年、パリ生まれ。母親がキャスティングディレクターだったことから、子役として映画に出演。その後、15歳の時に本格的に俳優としてのキャリアをスタートさせ、89年にジャック・ドワイヨン監督作品『15歳の少女』で好演、セザール賞の“最も将来を嘱望される男優賞”にノミネートされる。その後もエリック・ロメールの傑作『夏物語』(96)や『キッドナッパー』(98)、『ル・ディヴォース/パリに恋して』(03)、『僕を葬る』(05)など、スター俳優の一人としての地位を築いている。
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『ゼロ時間の謎』
配給:ファインフィルムズ・熱帯美術館
12月15日よりBunkamura ル・シネマほか全国順次ロードショー
オフィシャルサイト |
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| こういうミステリー群像劇では、周りの方との演技のバランスが難しかったのではないかと思うのですが、いかがでしたか?
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まず、アガサ・クリスティー作品の映画化ということで、シナリオがとてもよく書かれていたんだ。その中でパスカル・トマ監督が狙っていたことは、一つ一つのキャラクターがそれぞれ立っていて、曖昧性がないこと。奔放な女の子は奔放、ちょっと暗めな女の子は暗めと、ルックスからしてこの人はこういう人物像なんだということを、一目瞭然で観客が分かるような演出を監督は望んだ。これはフランス映画では割と古典的な手法なんだけど、そうすることによって観客が観た時にすぐに分かりやすい。この映画は特に、観客が推理していく物語だから、関係性が分かりにくいということがあってはいけない。だから関係性がわかりやすいという意味では、子供でも楽しめる映画だと思っているよ。
演じる側にも、それぞれのキャラクターが、フィジカルな面でもメンタルな面でも細かく伝えられていたんだ。その上で、僕自身は良家のおぼっちゃまを演じるということに徹したから、それほど難しいとは思わなかったよ。フランスでは「クルエド」という犯人探しの室内ボードゲームがあるんだけど、この映画はそういうゲーム感覚に似た、みなぎる展開があるゲームだと思ってるんだ。観客はまるでその犯人探しゲームに参加しているように、スクリーンをボードゲームに見立てて、この手がかりがあるからひょっとしたら犯人はこの人なんじゃないか、というように客席に座りながら楽しめる映画なんだ。 |
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ギヨームというキャラクターに関しては、監督からとてもエレガントで貴族的な教育を受けてきた良家の子息というイメージでやってくれと言われていたから、スーツやシャツは全てオーダーメイドで仕立て、かつ筋肉もつけて、テニスプレーヤーのチャンピオンだったという過去にも信憑性が持てるようにした。しかもフランスでスポーツをたしなむ貴族というと、フェアプレイや騎士道精神を身につけた人物というイメージがあるから、そこらへんも意識したよ。
――テニスプレーヤーとしてテニスをするシーンがありましたが、今までテニスの経験はあったのですか?それとも大特訓をしたのですか?
テニスは小さい頃からやっていたよ。というのも、祖父が全仏オープンで有名なローランギャロス・スタジアムで審判をしていたから、その関係で小さい頃から親しんでいたんだ。でもずいぶん長くテニスをやっていなかったから、もちろん今回この撮影が決まった時点で、撮影の前の夏休みにテニスのトレーニングをしてもらったよ。撮影では長いシーンを何度も何度も、しかも難しいバックハンドをやらなければいけなかったから、一日が終わった時には倒れてしまうくらいに疲労困憊だったね。
実はこの映画全体で時代背景に曖昧性を残しているんだけど、僕自身はそれをテニスのシーンにも残したいと思ったんだ。今回は長いズボンは履いてなかったけど、テニスの一番初期の頃は長いズボンを履いてやっていたから、今みたいなモダンな恰好じゃなく、そういうクラシックな感じでやりたいと、監督に言っていたくらいさ。結局、今風な優雅な感じになったんだけどね。 |
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| メルヴィルさんは子役時代からずっと俳優の仕事を続けてきて、現在こうしてスターとして活躍されていますが、普通は子役からスタートすると、大人への脱皮が難しいことも多いと思うのですが、メルヴィルさんがここまでこれたのはなぜか、ご自分ではどう分析されますか?
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子供の頃から演じていたといっても、僕が出演してきたのは大体ラウル・ルイスのような知る人ぞ知る映画だったからね。確かに子役で大ヒットしてしまうと、その役のイメージをずっとひきずってしまって、そこから抜け出すのが難しいけれど、幸い僕の場合はそういうことが一度もなかった。だから成長するにつれて作品ごとに違う役を演じても、あ、また新しいことをやっているなという目でしか見れらない。そういうわけで、今自分は本当にやりたい方向に進めているんだと思うよ。
子役は9歳くらいから始めたんだけれど、以降、今に至るまでずっと修行時代だと思っているんだ。常に観衆の目やメディアにさらされ、自分の存在がパブリックなものになるのではなく、スターシステムやショービジネスから外れたところで人知れずコツコツと俳優修業を続けてきた。今でも自分はそういう派手な世界とはちょっと違うところに身を置いていると思っているよ。 |
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| メルヴィルさんは、ギヨームのように振られた相手に対して未練を残してしまうタイプですか?それともきっぱりあきらめられますか? |
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昔から僕は、誰かと付き合う時は長いんだ。だからその長い関係の中でもし別れることになったら、それは偶然じゃなく必然だと思う。付き合っている内にそれぞれが少しずつ変わってしまうこともあるし、あまりにも親密すぎたのかもしれない。二人でいる生活の中で情熱が少しずつ冷めてしまうことはあって、自分が当時者だったらそんなお互いの心境の変化を感じ取れるから、別れに対しては穏やかな気持ちで受け止めてきたと思う。
でも片思いの関係で、僕が好きで好きでたまらない人が僕のことを好きじゃなくて、待ち焦がれてたってことはあったけど、結局それは一度も成立しなかったから、これはちょっと状況が違うよね(笑)。
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| この作品も含め、来年にかけて素晴らしい作品が目白押しですが、どのように作品を選んでいらっしゃるのですか? |
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やっぱり監督だね。監督の知名度ということではなくて、自分との波長が合うか、それと彼がやりたいと思っていることに対しての情熱はどれ程か、それが決め手だね。その次に、シナリオだったりキャラクターだったりするけど、一番決め手になるのは監督のモチベーションと相性。
実は『僕を葬る』が終わって2年くらい、何もできなかったんだ。そこで考えたことは、やっぱりいろんなタイプの監督と仕事をしたいということだった。家族を扱った作品、フランスの伝統的で作家主義的な少しインテリの作品、あるいはニューヨークで撮ったロマンチックでかわいらしい、ちょっと遊び心のある作品、あるいはイギリスで撮ったスリラー…。そういう風に、監督のジャンルや国を変えていろんな影響を自分自身が吸収していきたいと思っているから、これからもその基準で作品を選んでいくと思うよ。 |
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若干寝起きだったメルヴィルさん(笑)。しかしインタビューに対する答えは鋭く、熱く語ってくれました。はじめにコーヒーを頼んでいたメルヴィルさんでしたが、それに一度も口をつけることもないほど熱弁をふるってくれました。来日は2度目だそうで、プロモーションがてら日本観光を楽しんでいたようです。まさかまさかの展開にハラハラドキドキの『ゼロ時間の謎』。ぜひ劇場で犯人探しの室内ボードゲーム感覚を味わってみては!?
(取材・文・写真:浦川瞳)
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