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[ハリウッドレビュー]

(c)2008 Prescott Productions, LLC All Rights Reserved

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 似てますわ~、ジョージ・W.ブッシュ。演じるのはジョシュ・ブローリン。同時期に「ミルク」で、ハーヴィー・ミルクを射殺する保守派の同僚委員、ダン・ホワイトを好演してアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた彼だが、これほど体制側のイヤな役(顔)にハマるのも微妙な気分では?

 ともあれ監督のオリヴァー・ストーンは、「ニクソン」でも「ドアーズ」でも、実在の有名人を扱う時は出演者のモノマネ芸に極めて高いレベルを求める。それは彼が、アメリカ現代史における重要な時代の断片を、まるで報告書のようにフィルムに刻みつけようとするからに他ならない。自らのベトナム戦争体験を基にした「プラトーン」から、ストーンの映画は積極的に“再現ドラマ”なのである。「ミルク」も当初は彼が持っていた企画だったのだが、もしそのままストーンが監督することに進んでいたら、魂のレベルでミルクに憑依したショーン・ペンではなく、もっと見た目重視のキャスティングをしただろう。

 しかし同時に、今回の「ブッシュ」は、意外なほどブッシュの内面に肉薄した作品でもある。ストーンはブッシュと同い年で、名門イェール大学に進学しながらもしばらく職を転々としたりなど、境遇に似たところがあり、一方でブッシュのことは大統領選前から強く批判していた。だから彼の人生が自分の陰画のように見えたのかもしれない。

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 物語の主題になっているのはエディプス・コンプレックス(父親との確執)だ。父親の第41代大統領のジョージ・H.W.ブッシュは、いつもブッシュを出来の悪い息子だとなじる。まあ、それも致し方がない。大学は裏口入学、アメフトの応援で調子に乗りすぎて逮捕されたり、遊んだ女に妊娠したと騒がれたり、若い頃から本気でロクでもないヤツなのだ。やがて彼はパパに認められたい一心で、向いていない政界入りを決める。そういった感情の公私混同から始まって、イラク侵攻を命じたりなど、世界を混乱のドツボに陥れたわけである。はた迷惑にも程があるっちゅうねん!

 本当は野球が大好きな、素朴な体育会系の男――そういったブッシュの素顔が見えてくることで、身の丈に合わない任務を自らに課してしまった彼を、かわいそうな男だとほだされてしまう人も多いだろう。しかし安易な同情がいちばん危険! つまりこの映画は、行政能力のまったくないお坊ちゃんが、政界一家に生まれたというだけで国を動かす立場に就けてしまう、恐ろしいメカニズムをこそえぐりだしているわけである。これは二世政治家がうじゃうじゃ跋扈する日本でも深刻な問題だが、しかし我が国では「麻生」なんて映画は作られそうにない。そう考えると、アメリカにオリヴァー・ストーンが居るのはとても貴重なことだと思える。マイケル・ムーアもいいけど、ストーンもね。