<前の記事次の記事>

[ハリウッドレビュー]

(C) Niko Tavernese for all Wrestler photos

(C) Niko Tavernese for all Wrestler photos

ミッキー・ロークと言えば“猫パンチ”である。30代の時の彼は、「ナインハーフ」や「エンゼル・ハート」、「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」などで大ブレイクし、フェロモンむんむんのダンディなモテ男として80年代を席巻した。

ところが何を思ったか、まもなくプロボクサーに転向。そして92年6月3日、両国国技館で伝説の試合を開催する。ダリル・ミラーなる「誰?」と皆が疑問全開の無名人物を相手に、猫がじゃれてるだけのようなナメたパンチを数発繰り出した。にもかかわらず、なんと1R2分8秒KO勝ち……。「何だよ、今の!」「八百長丸出し!」など大批判&失笑・苦笑の嵐を当然にも巻き起こし、彼の栄光はまさに2分8秒で消滅した。以降は整形の失敗、薬物中毒などによるルックスと私生活の荒れが加速し、役者に戻ってもロクな役はなく、負のスパイラルの渦の中に長年沈没していたのだった。

「80年代は最高! 90年代は最低!」。

これは、そんなミッキー・ロークが奇跡の大復活を果たした名作映画、ボクサーならぬ「レスラー」の中の台詞である。完全に彼の心の叫び! 劇中では音楽ネタにからめたもので、80年代に人気だったL.A.メタルバンド、ラットのヒット曲「ラウンド・アンド・ラウンド」が昼間のバーで流れる。すると、ミッキー・ローク演じるドサ回り中年レスラーと、マリサ・トメイ演じる熟女ストリッパーがにわかに盛り上がり、「モトリー・クルー、デフ・レパード、ガンズ&ローゼズ……」「ところがニルヴァーナが出てきて、お気楽な時代は終わっちゃった!」と、同世代の男女ふたりで「あの時代は良かったねえ」的な会話を嬉しそうに交わすのだ。

| 1 2 | 次のページ>