[邦画レビュー]
これまで映像化不可能と言われてきた漫画の神様・手塚治虫の問題作「MW-ムウ-」が、ついにこの夏、満を持して映画化され公開となる。手塚治虫生誕80周年企画とあって、主演は玉木宏と山田孝之、脇には沢木和之に石橋凌と実に豪華。しかし原作のファンにとってはやはり実写化に伴う不安も大きいことだろう。今回はそのあたりも踏まえて、原作ファンの視点からレビューしていくことにしよう。
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16年前、ある島の島民全員が死亡するという恐るべき事件が発生した。しかしその事実は当時の政府によってもみ消され、世に出ることはなかった。やがて時は経ち――奇跡的に島から脱出し生き延びた二人の少年のうち、一人は神父へ、そしてもう一人は美しき悪へと成長していた――。
物語の中心となるのは、賀来裕太郎(山田孝之)と結城美智雄(玉木宏)という二人のイケメンが織り成す対立構造だ。賀来が善なら、結城は悪。対照的でありながらその出自故に特別な絆で結びつけられた彼らの関係が、この「MW-ムウ-」という物語を非常に複雑で面白いものに仕立て上げている。
特に玉木宏はこれまでの好青年なイメージを脱ぎ捨て、完璧に結城美智雄という悪を演じてみせた。おそらく相当に原作を読み込んで役作りしたのだろう。ルックスはもちろん、表情や仕草、男性でも思わず見とれてしまいそうになる肉体美など、彼のイメージはかなり原作の結城に近い。手塚ファンもこれなら十分満足できるだろう。
一方の山田孝之だが、こちらは原作の賀来とはずいぶん雰囲気が異なっている。無精髭を生やしてワイルドさを出してはいるものの、ルックスにも性格にも原作の賀来の持つ力強さは今ひとつ足りない。とはいえ、これはあくまで原作ファンの視点から見た話だ。映画版は別物であると割り切って捉えれば、さほど気にならないだろう。何より興行的にはゴツいオッサンより演技力とルックスを兼ね備えた山田孝之に頼った方が良いに決まっている。
……この映画の問題は、もっと別のところにある。

