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[インタビュー]

この作品は、仲間で作った子供のようなもの。一人でも多くの人に可愛がってもらいたい。

  「ガマの油」というちょっと不思議なタイトルは、役所自身が幼少の頃、田舎の縁日で“ガマの油売り”のおじさんに出逢った思い出が、今でも記憶に残っていてそれをもとに付けられた。切り傷などに効き目があるとされた“ガマの油”を役所広司は映画としてどのような作品に仕上げたのか。

  物語は、1日に何億円も稼ぐ自称デイトレーダーのはちゃめちゃ親父・拓郎(役所広司)と、そんな夫を優しく見守る妻・輝美(小林聡美)、父親に似ず真面目な息子・拓也(瑛太)の幸せな3人家族に起こるある悲しい出来事を通して、人と人とが繋がっていく過程をファンタジックに描いている。

  まずは、役所広司に初監督の感想を求めると「監督といっても俳優としても出てましたからね、そういう意味ではスタッフやキャストにも迷惑を掛けたなと。だから出来上がっての感想は感謝の気持ちでいっぱですね」といたって謙虚な答えだった。「みんなで作った子供のような感じですね。これから一人歩きしていく訳ですけど、ひとりでも多くの人に可愛がってもらいたい。いじめられることもあるかもしれないですけど、友達がいっぱいできるといいなぁと思います」と朗らかな笑顔で語った。

  では、初共演を果たした瑛太は監督・役所広司をどのように見ていたのだろうか。「(台本の)本読みの段階から細かいシーンの流れや台詞のニュアンスなどの演出が監督からあって、今まであまり、(現場に入る前に)そこまで細かく演出を受けるようなことがなかったので、嬉しかったですね」と振り返った。また撮影中に印象的な言葉を掛けられたという。「親友・秋葉と二人のシーンで、監督が“よーい、スタート”と声を掛ける前に、『楽しんで!』って言われたんです。その時、あぁーなんか、お芝居を楽しむということを忘れてたなって。だからすごく印象に残ってますね」と役所監督に深く感銘を受けたようだ。

役所広司 スタイリスト:真島京子<br />(シャツ¥29,400/三喜商事(コースト・ウェバー・アハウス) 03-3238-1385)

役所広司 スタイリスト:真島京子
(シャツ¥29,400/三喜商事(コースト・ウェバー・アハウス) 03-3238-1385)

  「ガマの油」は大切な人を失うという悲しみと、その後に訪れる幸せというものが描かれている。映画の中では幸せについて「人と人との繋がり」を意識して作ったと話す監督自身にとって「幸せ」とは何か訊いてみると、しばらく考えこんでから「何か『幸せ』ってなんだろうって考えること自体が不幸な状態なんじゃないかって、今ふっとそう思いましたね(笑)。だから『幸せとは?』を考えるのではなく、無意識に心が健康な感じというのが一番幸せなことに思う」と率直な答えが返ってきた。

  最後にタイトルにちなみ、お二人の油があるとしたら、何に効くと思うかという質問に、「効いてほしいのは僕の油をつけたらみんなが『笑う』ということかな。コカ・コーラの宣伝みたいですけど(笑)」と周囲を笑わせた。一方瑛太は「僕みたいなこんな情けない人間からでた油を塗ることによって、私はあの人より全然情けなくないんだっていうふうに救われるというか…ちょっと自信がもてることかな(笑)」と、その意外な発言を隣で聞いていた役所が、「俺よりしょぼい奴がいるってね」と笑いながらツッコミを入れ、劇中の親子さながら和やかな雰囲気に包まれた。

  「ガマの油」は6月6日(土)より全国ロードショー。

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[インタビュアーの呟き]
お二人に脂汗をかいた出来事があるか訊ねたら、役所さんは監督として何かを決断しなくてはならない時にじわっと汗をかいたとのこと。瑛太さんは「宣伝活動。今も額と脇にあぶら汗が結構きてますね」と周囲を笑わせてくれましたが、それは言葉の足りなさで説明が上手く出来ない時とか、ちゃんとそこに想いが入ってるかなと不安になった時に汗をかくという意味で、とてもシャイで真面目な人柄が伝わってきました。何だか、お二人の雰囲気が似てる気がして、本当の親子のように見えたインタビューでした。
■プロフィール
[役所広司]
1956年1月1日長崎県生まれ。83年NHK大河ドラマ「徳川家康」で織田信長役を好演し、脚光を浴びる。85年「タンポポ」で映画デビュー後、90年に主演した「オーロラの下で」で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。96年、俳優として大きな転機が訪れる。「Shall we ダンス?」(97年全米公開)「眠る男」(モントリオール国際映画祭で準グランプリ)「シャブ極道」の3作品において、国内外の数々の賞を受賞した。翌97年には「うなぎ」でカンヌ国際映画祭の最高賞であるパルム・ドールを受賞し大きな話題に。05年には「SAYURI」でハリウッドに初進出を果たし、06年ハリウッド出演第二弾「バベル」が米アカデミー賞作品賞にノミネートされその名を世界に刻んだ。出演する作品は常に注目され、数え切れないほどの受賞歴を誇る、日本を代表する俳優である。

[瑛太]
1982年生まれ。東京都出身。1999年「ホットドッグプレス」でモデルデビュー。フジテレビ系ドラマ「さよなら、小津先生」(01)でドラマデビューを果たし、「WATER BOYS」(03)、「オレンジデイズ」(04)、「のだめカンタービレ」(06)、「ラスト・フレンズ」(08)など数々の話題作に出演し人気急上昇。スクリーンデビューは02年の「青い春」で、「サマータイムマシン・ブルース」(05年)で初主演を果たす。2009年は「ガマの油」の他、「余命1ヶ月の花嫁」「ディア・ドクター」「なくもんか」(秋公開予定)と精力的に活動を続けている。若手俳優として最も注目されているひとりである。

 「ガマの油」
 配給:ファントム・フィルム
 6月6日(土)より全国公開
 オフィシャルサイト

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