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第4回:便乗映画はビデオ・映画業界の未来を明るくする救世主!?
07.28 更新
 便乗映画というのをご存知だろうか。正式名称ではないが、ハリウッドS級作品や邦画大作が公開される際、そのヒットに少しでもあやかろうと、よく似たタイトルを付け、世に送り出される映画のことである。

  昔から便乗映画は未公開作に多く、しかも、パッケージが本家とそっくりに作られているため、レンタルビデオ店で間違って借りてしまった人も多いことだろう。この流れは今も健在で、レンタル店へ行けば数多くの便乗作品を目にすることができる。

 例えば、大統領暗殺の真相を8人の視点から追うサスペンス「バンテージ・ポイント」に、絶対乗っかったに違いないハリウッド作「ボンテージ・ポイント」。販売元に聞けば、「『バンテージ〜』の高い知名度を意識してのことですが、主人公のボンテージファッションが見どころであるため、日本サイドがこのタイトルを付けました」との答えが返ってきた。
第4回:便乗映画はビデオ・映画業界の未来を明るくする救世主!?
「ボンテージ・ポイント」、主演はなんと
「グラスハウス」の演技派リリー・ソビエスキー!
(C)CHAOS a film company inc. 2007
(C)2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
 では、なぜ未公開作に便乗映画が多いのか。それはもちろん、ヒット作の恩恵を受けなければ、作品単体で知名度を上げることが厳しいからだ。その背景には、公開作ですら宣伝費が削られている現在、未公開作に宣伝費をかけられないという現実がある。また、タイトルのバカらしさをフックとするファン層が、パッケージ業界には必ず存在するのだ。マニアと呼ぶと失礼かもしれないが、そういうファン層は絶対に裏切らない。メーカー側にとっては販売数の予測が立てやすく、ありがたい客なのである。

 だが、ここ最近、便乗映画に新たな流れが加わってきている。便乗であることを名言して劇場公開、プチヒットを記録しているのだ。記憶に新しいところでは、「日本以外全部沈没」だろう。今作を手がけた河崎実監督は「『日本沈没』があったからこそ、この作品がヒットしたんです。本家がなければ、作品自体がなかったかもしれない。だから、樋口監督に会ったとき“悪かったね、便乗しちゃって”と言っておいたんだ。“いいっすよ”と笑ってたよ」とコメントする。

 また、5月24日に公開された「少林老女」は「少林少女」があると知った時点で企画がスタート。「期待していないぶん観客の反響は大きく、本家よりも面白いと評判です。王道の作品をやりつつも、面白系の作品は今後も手がけていきます」と、配給元は話す。

  ネタ不足がささやかれるハリウッド、原作ありきの映画ばかりが作られる邦画業界。こういったマンネリ化が新たな映画を生み出し、需要を伸ばしている現状を目にすると、知名度が高いだけの映画に行き、それが満席であれば次に知名度の高い映画――そんなスタイルではなく、見たい映画に足を運ぶという、かつて主流であった姿が戻ってくる気がしてならない。そう、便乗映画は映像業界の未来を明るくする! などと口にしたら、少し言い過ぎだろうか。

■関連情報
「ボンテージ・ポイント 」
発売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2008年8月27日
価格:3,980円(税込)

■過去の記事:
第3回:米脚本家組合のストライキで、海外ドラマのレンタルに異変!?
第2回:ボイスキャストに芸能人を起用したい宣伝側の本音とは?
第1回:R指定で観客が制限されるのに、作品がヒットするのはなぜ?

■関連記事:
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映画ライター:安保有希子
映画ライター:安保有希子
1975年生まれ。夕刊フジ、日経エンタテインメント、DVDレビューなど、新聞・雑誌で執筆する傍ら、ラジオで映画コメンテーターを務める。ジャンルを問わず映画を鑑賞するが、好んで足を運ぶのは、B級とホラーとアニメ。そのため、オタクと勘違いされやすいものの、決してそうではない、と頑なに言い張っている。
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