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第8回:劇場で流れる予告編に隠された、知られざる真実とは?
08.25 更新
 劇場へ足を運べば、ほぼ確実に目にするであろう新作映画の予告編。たまたま見て、面白そうな作品だとチェックを入れることも多いはずだ。さもすれば、本来の目的であった本編よりも予告編のほうが印象に残ってしまう――悲しいけれど、そんなことはザラもザラ。しょっちゅうである。それゆえ、映画会社は予告編に力を入れる。

 特に春休み、GW、夏休みなどの大型連休時期は観客動員数が伸び、予告を目にする人が多くなるため、次に繋げる意味でも、映画会社の予告編に対する力の入れ具合は凄まじいものとなる。では、この予告編、あまりに普通に流れているので普段は気にも留めないかもしれないが、どのタイミングで流し始め、そもそもお金は取られているのだろうか。今回は、そんな予告編の様々な謎に迫ってみたい。
第8回:劇場で流れる予告編に隠された、知られざる真実とは?
ファミリー層を取り込める年末の目玉作品「WALL・E/ウォーリー」
(C)2008 WALT DISNEY PICTURES/PIXAR ANIMATION STUDIOS.ALL RIGHTS RESERVED.
 ここでちょっと思い出してほしい。本編が始まる前に予告編がかかり、その前に旅行会社や化粧品のCMが流れていることを。これら一般企業の場合は、シネアドと呼ばれる劇場CM枠を買って放映しており、テレビのCMと同じようなものだと捉えてもらえばいい。

 一方の新作映画の予告編だが、こちらは完全に無料。採算が合わないと思うかもしれないが、その劇場で回らない作品の予告編がかかることはなく、鑑賞後に前売チケットを買って帰る人や公開時に来場してくれる人もいるため、それほど割が悪くもなく、新作がその劇場で公開される事実をアピールすることが重要なのだ。

 では、流すタイミングだが、通常は2〜3ヶ月前に映画会社が予告編を劇場に納品し、ターゲットが似ている作品の枠でかけてもらえるよう交渉を開始する。つまり、基本的に編成を組むのは劇場側のため、早めに納品したところで、ピンポイントかつ早くからその予告を流してもらえる保証はなく、当然のことながら作品の規模と映画会社の営業力にかかってくるのだ。

 例えば、興収100億円を突破したことが話題の「崖の上のポニョ」の上映前には、ピクサー最新作「WALL・E/ウォーリー」(12月公開)の予告編が流れていたが、この作品はヒットを見込めるピクサーの最新作であり、アニメ、ファミリー層というフックが「崖の上の〜」とかぶるため、12月公開でも夏休み時期からかかったのである。

 「ハリウッドメジャーのS級作品や邦画大作など公開日の決まっているものは、その公開日に向けて何パターンも予告編を作り、効果的に観客にアピールできますが、そうでない作品に関しては公開本数が多いこともあり、年々枠の獲得が厳しくなってきています。予告編を流す時間を増やしてもらうのも難しいですから」とは、ある配給会社の弁。

 確かに、上映時間が長い作品が多い現在、観客が予告編に耐えられるのは、せいぜい10〜15分程度であろう。正直、見たくない人も多いかもしれない。だが、なぜこの作品でこの予告編が流れるのか。ちょっと視点を変えるだけで、映画会社の力関係やマーケティング方法が垣間見え、予告編の時間ががぜん面白くなるはずだ。そして、それが映画業界の盛り上がりに繋がれば――と切に願うのである。


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[映画ウラ事情]
映画業界のウラ側や疑問を、映画ライター・安保有希子が読み解く。(毎週月曜日更新)
映画ライター:安保有希子
映画ライター:安保有希子
1975年生まれ。夕刊フジ、日経エンタテインメント、DVDレビューなど、新聞・雑誌で執筆する傍ら、ラジオで映画コメンテーターを務める。ジャンルを問わず映画を鑑賞するが、好んで足を運ぶのは、B級とホラーとアニメ。そのため、オタクと勘違いされやすいものの、決してそうではない、と頑なに言い張っている。
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