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映画ファンドという言葉を耳にしたことはないだろうか。これは、映画製作の資金を投資家から募り、興業成績やDVDの売上などに準じて配当金を支払う、投資商品の一種だ。以前は法人投資家が出資するタイプの商品がほとんどであったが、最近は個人向けの映画ファンドが増えてきている。1口5万円や1口10万円といった具合に、投資額はファンドによって違うが、そこまで高額でないのが現在の映画ファンドの特徴だ。
では、この映画ファンド、素人が手を出していいものなのだろうか。まず考えてほしいのが、なぜ製作側はファンドが必要なのかという点である。現在の映画は、企業が出資して作品を完成させ、世に送り出す製作委員会方式が主流。つまり、多数の企業が絡むことでリスクは分散されるが、出資額に応じて権利も分散してしまうのだ。そこから見えてくるのが、映画ファンドでお金を募る背景には、従来の製作委員会方式を使わず、権利を100%自分でコントロールしたいという理由が1つ。
そして、もう1つの理由――こちらが曲者なのだが、製作委員会を組成したくても出来ない場合だ。企業がその作品に対して魅力を感じず、NOと突き付けてしまった結果、個人向けのファンドに落ちてきてしまうのである。言葉は悪くなってしまうが、箸にも棒にもかからない作品だと製作サイドは熟知していても、映画の華やかなイメージを利用して投資家から元本保証のないお金を集められれば、自分たちの懐を痛めることなく映画が作れてしまう。結局、個人投資家のみが損をするのだ。
ただ、リスクばかりではない。
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例えば、個人投資家向けの映画ファンド第1号、仲間由紀恵&オダギリジョー主演の「SHINOBI」では、投資額によってプレミアムグッズの配布、エンドロールへの名前明記など、単に映画を見ているだけでは体験できない様々な特典があり、投資した人は楽しめたはずだ。
また、元本保証が6割のハイリスクハイリターン型と、9割保証のローリスクローリターン型の2種類が用意されていただけでなく、製作委員会も作られており、リスクはかなり軽減された。結局、話題性を重視したプロモーション的な意味合いも強かったのだろうが、このような質のいいファンドを見つけるにはどうしたらいいのか。
「映画ファンドへ投資する際は、聞いたこともないような会社や個人が入っているものではなく、関係者がシンプルなものを選ぶようにしてください。キャッシュフローが明確なところですね。また、どこの映画会社が作品を製作するのかは重要です。作品がコケて映画会社が得をすることはなく、ブランド名にも傷が付きますから。もし東宝がやるとすれば、必ず当てにきますよ」と、ある証券会社の人間はアドバイスする。
映画ファンドは投資商品のため、損をすることは間違いなくある。ただ、ファンの俳優が出ているから少しでも力になりたい、非売品のグッズが欲しい等の目的があれば、これまでとは違う映画への関わり方ができるのでチャレンジしていいと思う。とはいえ、映画ファンド市場は黎明期、もう少し様子を見るのが正解だろう。
■過去の記事:
第7回:映画監督に俳優やお笑い芸人が起用されるのはなぜ?
第6回:次世代ディスク規格戦争終結。で、BDハードはいつが買いなの?
第5回:総興行収入・映画人口ともに頭打ち。これからシネコンはどうなる?
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[映画ウラ事情]
映画業界のウラ側や疑問を、映画ライター・安保有希子が読み解く。(毎週月曜日更新)
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映画ライター:安保有希子
1975年生まれ。夕刊フジ、日経エンタテインメント、DVDレビューなど、新聞・雑誌で執筆する傍ら、ラジオで映画コメンテーターを務める。ジャンルを問わず映画を鑑賞するが、好んで足を運ぶのは、B級とホラーとアニメ。そのため、オタクと勘違いされやすいものの、決してそうではない、と頑なに言い張っている。 |
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