[映画ウラ事情]
「ウォーリー」「ティンカー・ベル」「マダガスカル2」など、ハリウッド制作のアニメ映画の公開が待機している。アメリカでは声優という職業がないため、声を担当するのはハリウッドスターであることがほとんどだが、日本の場合、声優がいるにも関わらず、俳優やタレント、お笑い芸人といった芸能人が吹き替えるパターンが多くなってきた。
では、この米国製アニメの吹き替え、どういう基準でキャスティングし、果たしてアメリカサイドの了承を得ているのか。今回はハリウッドアニメの吹き替えの裏側に迫ってみたい。

「ティンカー・ベル」のティンカー・ベル役は、ディズニー公式携帯サイトのオーディションで決定 (C) Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.
まずは、ハリウッドのメジャー会社が制作するアニメである。ごくまれに例外があるものの、これらのアニメに共通しているのが、米国側のOKをもらわなければいけないということ。例えば、Aというハリウッドスターが声を担当することになったら、ほかの国の吹き替えも、できるだけAの声質に近い人物を当てはめる。ただ、それが芸能人であった場合は事前に申請を出し、ボイスサンプルを送る。了承されれば、アフレコに入るのである。これが一連の流れだ。
「吹き替え版制作にあたり最も重要視するのが、制作発表会見や舞台挨拶付の完成披露試写会などを開いた際、マスコミが集まってくれるかどうか。要するに芸能人です。なかでも、その時期に旬であり、話題性のある人が望ましい。吹き替えが初めてとか、極端なことを言えば、結婚や交際発覚などでもいい。マスコミの露出が少なくては宣伝になりませんから」と、業界関係者はコメントする。また、こうも付け加える。「正直、芸能人となれば、アメリカ側にゴリ押しする場合もあります。この人のほうがヒットしやすいとなれば、多少の無理も利くんです」。
逆に、メジャー会社以外のアニメであれば、それほどアプルーバルが厳しくもなく、日本サイドで勝手に決めることが多い。その際重要視されるのは、もちろん制作発表会見でマスコミが集められる人。つまり、こちらも芸能人である。
「メジャー制作のアニメと違う小規模な作品は、芸能人にとってみれば、名の知れていない制作会社のよく分からないアニメの声を担当するということになります。それゆえ、返事をもらうまでかなりの時間を要します。1人目で決まればいいですが、難色を示されたら次の人、そががダメなら次の人と、必然的にキャスティングには時間がかかってしまいます。それでも、宣伝のために芸能人が望ましいんです」と、ある配給会社の人物は明かす。
結局、メジャー制作であろうとなかろうと、ハリウッドアニメの吹き替えは芸能人頼みになっているのが現状だ。一時的な露出は増えるかもしれない。その声がキャラクターにピタリとハマれば、ヒットも見込めるだろう。だが、ほとんどハマらないのが現状で、またか……と、マンネリ感も否めない。マスコミへの露出が大切なのも分かるが、それで作品がヒットするという単純なものでもないはずだ。そろそろ視点を変え、観客こそが重要だと気付くべきではないだろうか。

