<前の記事次の記事>

[映画ウラ事情]

 「P.S.アイラヴユー」「バイオハザードⅢ」「北極のナヌー」など、これらの映画に共通する事柄が1つある。何か分かるだろうか。ヒントは徳永英明、倖田來未、手嶌葵。おおよその検討はついただろう。そう、答えは作品の主題歌に邦楽が使われていること。そして、ヒントは担当した歌手名である。

映画の気分に浸っていたのに、いきなりエンドロールに日本語の曲がかかってくると、興ざめしてしまう。雰囲気がぶち壊しになる――そう思うほうが、作品 にピッタリの曲だ! と感じることよりも多いはずだ。というのも、映画はエンドロールも含めて1本の作品として考えられているため、極端なことを言えば、エンドロールの曲を替 えるのは、作品を別のものにすることに他ならないから。では、当然その事情は把握しているはずなのに、配給会社はエンドロールに流れる曲を変更してしまうのか。

平井堅は名曲「Moon River」を歌う

平井堅は名曲「Moon River」を歌う


答えは簡単。知名度アップである。有名なアーティストが日本版主題歌を手掛ければ、それだけで話題となり、マスコミへの露出がはかれる。また、アーティスト側がラジオやテレビに出演する際には、“●●映画の主題歌の~”と映画の題名が紹介され、十分な宣伝効果が得られる。上手くいけば、その作品の映像も 流されたりするのだ。一方のアーティストにしてみても、自身の露出が増えるだけでなく、劇場で曲が流れれば、CDや着うた等の売上に繋がる。つまり、配給 会社とアーティストは持ちつ持たれつの関係であり、もちろん、タイアップの場合がほとんどである。

ただ、エンドロールを替えるにはそこそこのお金がかかってしまうため、ヒットの見込める作品、かつ、ある程度名の知れたアーティストであることが、ほぼ絶対条件となる。

今後も「ザ・ムーン」に平井堅、「ドラゴンボール エヴォリューション」に浜崎あゆみと、大物アーティストが洋画の主題歌を務める。アユの場合は、60カ国で公開される共通バージョンの主題歌ということだが、実際はデフォルトだという噂も耳に入ってくる。このデフォルトとは、とりあえずはアユの曲だけ ど……ということ。要するに、国ごとの判断によって曲が差し換えられてしまう可能性があるわけだ。

CD売上が不調の現在、洋画とのタイアップはやりやすくなり、主題歌のみならず、テレビスポットだけの楽曲提供も増えてきている。別に問題はないと思い つつも、ソフト販売時には元の曲に戻して収録されていることがほとんどなのだから、作品の持ち味を損なわせてまで、わざわざ曲を替える必要はないだろう、とも考えてしまうのである。