[ハリウッド最前線]
「ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002)で銃規制問題に焦点を当て、「華氏911」ではブッシュ元大統領を厳しく批判し、「シッコ」では医療保険問題に疑問を呈するなど、アメリカの社会問題に鋭くメスを入れてきたドキュメンタリー作家のマイケル・ムーアが、今度はアメリカだけでなく世界に蔓延している経済破綻を描くドキュメンタリーを作ることになった。タイトル未定のこのドキュメンタリーは、ムーア曰く「この国最大の略奪という結果を招くことになった企業及び国家の不正行為をコミカルに描く」作品になりそうとのことで、5月21日に発表された声明で、ムーアは「この国の富裕層は自分たちが持っている富では充分ではないと考えるようになり、さらに富をかき集めようとした。そこで、彼らはアメリカ国民が一所懸命働いて稼いだ金を組織的に巻き上げることにした。彼らがどうしてそんなことをしようとしたのか?この映画ではその答を見つけようと思っている」と語った。
この作品の資金を提供し、配給することになっているオーバーチュア・フィルムズとパラマウント・ヴァンテージが、去年のカンヌ映画祭で本企画を発表した際は、テーマが漠然としていたが、最近になって金融危機というテーマに絞られてきたとか。ムーアは、2月11日に、自身のウェブサイトにて「ウォール街や金融業界で働いている人で、自分が知っていることを僕に教えるべく名乗り出てくれる勇気ある人」を募集。「アメリカ史上最悪の詐欺行為を暴露する手助けをする英雄になってくれ」と公開書簡で呼びかけていた。
これまでも、国民の目の届かないところに隠蔽されてきたアメリカ社会の暗部を暴きながらも、爆笑しながら観ることができるエンターテイメントとしてのドキュメンタリーを作ってきたムーアなので、完成が楽しみである。

